蔚山(ウルサン)・太和江(テファガン)のユチェコッ団地から住宅街まで歩いて5分。赤レンガの2階建ての建物が見える。30年以上、子どもたちを育ててきた公立保育所だったが、昨年2月、少子化の波に抗しきれず閉園した。本来なら、土地と建物を売却して逼迫した財政を補うのが簡単だっただろう。実際、多くの地方自治体はそうしている。
しかし、蔚山市は別の道を選んだ。「週末・夜間の保育の空白が大きい」という声に耳を傾け、昨年7月に「365日24時間緊急保育センター」として再生させた。先月までに延べ7千人を超える利用があった。閉園した空間に再び子どもたちの笑い声があふれた。地方自治体の資産の使い方次第で地域の未来が変わることを示す事例だ。
残念ながら、こうした選択は稀だ。東亜(トンア)日報「土地を売って歳入を補う地方自治体」シリーズ(18、19日付)が伝えたように、多くの地方自治体が資産を一度限りの支出と引き換えに手放している。全羅南道木浦市(チョンラナムド・モクポシ)は2021年、儒達(ユダル)競技場の敷地を936億ウォンで売却し、そのうち約300億ウォンを現金給付や負債返済に使った。「新たな資産創出に使うべきだ」という条例を破ったのだ。
さらに大きな問題は、適正価格すら確保できない事例が多いことだ。過去5年間の地方自治体資産売却1532件のうち96.6%が一般競争入札ではなく随意契約だった。鑑定額より30億ウォン以上安く売られたり、担当公務員が20億ウォン近い裏金を受け取った事件まである。監視の目が届かないところで、地方自治体の資産は特恵と腐敗の温床と化している。
行政安全部が今になって改善に乗り出したことは幸いだ。地方自治体が資産を適正価格で売却できるよう専門機関を設置し、5年ごとに徹底的に調査する法改正を推進するという。地方自治体ホームページに散在する情報も統合プラットフォームで一本化する。検証体制を整えることが狙いだ。
しかし、肝心の点が抜け落ちている。売却代金を何に使うのか、その原則がない。地方自治体資産を処分して不足する歳入を埋めるのは、国民年金改革を先送りしたり、国債をむやみに増発するのと変わらない。未来の資産を現世代が先に使い切り、「世代間契約」を破る行為にほかならない。違う点は、地方資産売却は皆の目から隠れたまま静かに、そしてゆっくり進行していることだ。
今必要なのは「再投資」原則だ。土地を売却したなら、その代金は必ず別の資産や成長基盤に再投資するよう法で義務づけるべきだ。特に都市の戦略的基盤となる資産なら、より厳格な審査が求められる。さもなければ、600兆ウォン超の地方自治体の資産が高齢者介護・福祉支出を埋める現金自動預払機と化してしまう。
注目すべきは江原道寧越郡(カンウォンド・ヨンウォルグン)の方式だ。昨年から、端地や廃坑施設を売却して確保した資金は一般会計に入れず、別枠の基金に積み立てている。そして基金で良地を買い入れ、工業団地の賃貸住宅整備など長期プロジェクトの基盤とする。負債返済ではなく地域の未来を設計したのだ。
地方自治体の資産を守り育てることは、未来世代との約束を守ることだ。今日ガチョウの腹を割けば、明日には黄金の卵を得ることはできない。冬を越そうと森を伐れば、夏には山崩れを心配しなければならない。土地を売って歳入を埋める選択がどれほど異なるのか振り返る必要がある。
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