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米中首脳、100分間の「釜山会談」 貿易戦争「休戦」へ

米中首脳、100分間の「釜山会談」 貿易戦争「休戦」へ

Posted October. 31, 2025 09:22,   

Updated October. 31, 2025 09:22


トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が30日、慶州(キョンジュ)で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を機に米中首脳会談を行い、互いに向けていた強硬な貿易措置を緩和することで一致した。米国は合成麻薬「フェンタニル」の取り締まりが不十分だとして中国に課していた関税を20%から10%に引き下げ、中国は最近発表したレアアース(希土類)輸出規制の大幅強化を猶予することを決めた。米中貿易戦争が拡大の一途をたどる中、両国がひとまず「致命的な武器」を収め、休戦状態に入る格好となった。両首脳は最も敏感な安全保障懸案とされてきた台湾問題については議論しなかった。

トランプ氏と習氏が直接顔を合わせたのは、2019年に日本で開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議以来、6年4カ月ぶりだ。両首脳が直接の交渉で極端な対立を避けることで合意し、世界経済の大きな重荷となっていた米中貿易戦争はひとまず小休止の局面を迎えた。ただし、根本的な解決には至らず、潜在的な火種も多いため、いつ再燃してもおかしくないとの見方もある。

両首脳は同日、釜山(プサン)の金海(キムヘ)空港にある空軍基地内の接見場「ナレマル」で、側近が同席する中、約1時間40分にわたって拡大会談を行った。会談後すぐに帰国の途についたトランプ氏は、大統領専用機「エアフォースワン」内で取材陣に、「中国から入ってくるフェンタニルのため20%の関税を課していたが、これを10%に引き下げる。即時発効だ」と述べた。また「レアアース問題はすべて解決した。障害はもはやなくなった」と強調した。米通商代表部(USTR)のグリア代表も「中国がレアアース供給を継続することになった。これは極めて重要なことだ」と述べた。トランプ氏は中国が米国産大豆やその他の農産物も即時に購入するとも明らかにした。

一方で、米国産半導体の対中輸出については大幅な規制緩和はないとの姿勢を示唆した。「エヌビディア(NVIDIA)が中国と協議するが、『ブラックウェル』(同社が開発した先端半導体)は対象に含まれていない」と述べた。台湾問題については「全く議論しなかった」とし、円滑な貿易交渉のため意図的に取り上げなかったとみられる。

同日の会談では、トランプ氏の訪中計画も具体化した。トランプ氏は「来年4月に中国を訪問する。その後、習氏が米国を訪れることになる」と述べた。

なお、会談冒頭の発言では微妙な神経戦もみられた。トランプ氏は「我々はすでに多くのことで合意しており、この場でもさらに合意を重ねる」と述べ、習氏は「中米関係は全体として非常に安定している」としつつも、「国の事情が異なるため意見が一致しないこともある。それは正常なことだ」と応じた。最近激化していた貿易摩擦を意識した発言とみられる。


申晋宇 niceshin@donga.com