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歴史問題より難題となる「強い日本」の帰還

歴史問題より難題となる「強い日本」の帰還

Posted October. 30, 2025 08:35,   

Updated October. 30, 2025 08:35


「今度は日本が見せる番だ」

高市早苗首相就任後の日韓関係について、韓国政府高官は「李在明(イ・ジェミョン)大統領は、日本国内の懸念がある中でも、就任直後に日韓パートナーシップを強化する決断を下した」とし、このように語った。高市氏は過去に「大臣が竹島の日に堂々と出席すればよいのではないか」「靖国神社参拝をやめれば相手がつけ上がる」といった問題発言で物議を醸した。このため、李氏が高市氏の就任当日に外交・安全保障の司令塔である魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長を日本に急派したこと自体が、「韓日関係改善の流れを維持しよう」という婉曲なメッセージとして受け止められた。

政府の期待通り、現状の雰囲気は悪くないようだ。高市氏は就任初日に「韓国は重要な隣国」と強調し、韓国の海苔や化粧品、ドラマが好きだとも述べた。靖国神社を定期的に参拝してきた高市氏は、秋の例大祭期間の参拝を見合わせた。30日に行われる李氏との初対面に向け、協力は協力として進め、歴史問題などの対立問題は水面下で管理する「ツートラック」方針を維持するという前向きなシグナルを発している。

しかし、一部ではこうした歴史問題よりも、高市氏が前面に打ち出す「強い日本」の帰還が日韓関係の火種となる可能性が指摘されている。公明党に代わり、防衛力強化に積極的な日本維新の会と連立政権を組んで首相となった高市氏は、国会施政方針演説で「強い」を10回、「安全保障」を18回言及した。就任初日から、わずか3年前に改定した安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の再改定を指示し、原子力潜水艦導入検討の意向も示した。

韓日・韓米日協力が定数となった国際環境の中で、日本の「戦争可能な」普通の国への動きに拍車がかかっており、韓国の外交戦略を混乱させかねない。こうした動きは、より強力となった第2次トランプ政権の「米国第一」とも合致し、正当性を積み上げる形となっている。訪韓直前、日本でトランプ氏は高市氏と会い、「相当な規模で軍事力を増強していることを知っている」と述べ、日本の米国兵器購入を公表した。

ある政府関係者は「域内で軍事的影響力を拡大しようとする日本と、中国牽制に集中し、さらに同盟負担の増大を掲げる米国が歩調を合わせる現状は、韓米日の3カ国構図において韓国の立場を狭める結果となりかねない」と指摘する。これは、米国が一定の仲介役を果たしてきた韓日の歴史問題対立とは性格が異なる。

今年、日本は韓半島・台湾海峡・南シナ海を一つの戦時作戦区域として統合し、中国と北朝鮮に対応しようという「ワンシアター」構想を米国に提案した。現在は「オーシャン」という語に置き換えられたこの構想が、過去に安倍晋三元首相が提案し、米国のアジア戦略として定着した「自由で開かれたインド太平洋構想」のシーズン2にならないという保証はない。現政府の国益重視の実用外交に難題を突きつける「強い日本」の帰還に、周辺国との関係においてどのように対応していくか、今こそ真剣に考える時だ。