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韓国外交、APEC後に笑うには

Posted October. 29, 2025 08:25,   

Updated October. 29, 2025 08:25


日本、米国、中国を相手にした慶州(キョンジュ)アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の外交戦の本番はこれからだ。関税交渉の終盤まで韓国に圧力をかけたトランプ米大統領、11年ぶりに訪韓する中国の習近平国家主席、強硬右派の高市早苗首相まで、手強い相手ばかりだ。何より、李在明(イ・ジェミョン)大統領の就任5カ月目にもかかわらず、韓米・韓中・韓日の関係はいずれも不確実性の霧の中にある。

韓米は関税交渉が長引き、同盟の大きな設計図を描く青写真がぼやけている。韓中は「安米軽中は終わった」と宣言した韓国と、「米国側に立つな」と要求する中国の間で板挟みだ。韓日は「過去を超え、未来志向の協力へ進もう」との石破茂前首相時代の合意が続くかどうかの岐路にある。日米中外交の曖昧さをどれだけ取り除けるかが、APEC外交戦の成否を左右する。

最初の関門は韓米首脳会談だ。最大の争点である対米投資は、韓国が負担できなければ合意を先送りするのが得策だ。ただ、その神経戦の間に、同盟の核心である対北朝鮮抑止力強化の議論が後回しになることが懸念される。米国の拡大抑止(核の傘)なしでは、韓国に対する北朝鮮の核の脅威を防ぐことはできない。にもかかわらず、政権発足後、韓米がこれを集中的に議論したことはない。8月の首脳会談でもトランプの拡大抑止公約はなかった。

米国の対北朝鮮政策も曖昧だ。トランプ氏が非核化なしの核凍結に合意してよいと考えるのか、どのような北朝鮮核構想を持っているのか不明だ。韓米は、韓国がウラン濃縮権限などをより多く持つことで合意したという。今後、原子力協定改正を協議する過程で、米国の警戒心を高める国内の核武装論が出ないようにすることが重要だ。しかしトランプ氏が北朝鮮の核を容認し、核の傘の強化にも消極的なら、不要な核武装世論を刺激しかねない。今回の会談が、非核化・北朝鮮核抑止の課題でも緊密な連携を確認する場とならねばならない理由だ。

2016年のTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)報復で冷え込んだ韓中関係は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を経ても両国の対立を調整する外交が欠落していた。中国の習近平国家主席との会談でこれを蘇らせることが第一の課題だ。10年近く暗黙的に続き、韓中協力の障害となった「限韓令(韓流禁止令)」の解決も必要だ。

韓米同盟を軸に中国とも対立しすぎない戦略が、「米国の対中抑制に同調するな」との中国の要求とどこで接点を見出せるかも鍵だ。米中は関税戦争の休戦を示唆したが、先端技術・安全保障を巡る覇権競争はもはや後戻りできない流れだ。韓国の未来を左右する産業で、ハンファオーシャンのように米国と協力する企業を制裁する事態が再発してはならない。韓米の軍事力牽制と無関係でない中国の西海(ソへ・黄海)構造物設置も、海洋主権の観点から容認できないという最後の一線を示さなければならない。これを曖昧にすると、大統領の言うように、米中という2つの石臼(いしうす)の間に挟まれ、何もできない立場に陥りかねない。

韓米関係が安定しているとは言い難い状況で、韓日関係まで揺らげば、外交の後ろ盾を失うことになる。高市氏との会談では、韓日関係がトランプ時代を乗り切る「安全保障・経済の安全弁」というビジョンを示す必要がある。日本は拉致問題解決のために日朝対話を進めてきた。北朝鮮を対話に引き出そうとする韓国としては、対北朝鮮政策で協力の余地がある。韓日はそれぞれ強みを持つ半導体など先端技術のサプライチェーンでも協力の余地が大きい。歪んだ歴史認識がこうした協力を阻むべきではないという共通認識の形成がまず重要だ。

APECは「国格」向上の機会だが、日米中との連鎖会談は解決すべき課題が多い。李在明政権5年の対外戦略の行方を決定する分水嶺でもある。これに向けた「外交の土台」を築く力量があるかどうか、間もなく試されることになる。