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10月だけ科学とノーベル賞を語る国

Posted October. 20, 2025 08:10,   

Updated October. 20, 2025 08:10


10月は韓国の科学界にとって最もつらい月だ。ノーベル賞受賞者が発表されるたびに、「韓国はいつ『科学ノーベル賞』を受賞できるのか」「なぜ我々は受賞できないのか」という長年の問いが繰り返される。隣国日本の受賞者が引き合いに出され、自嘲混じりの比較が広まり、科学ニュースが一時的に注目される。しかし、この「10月だけの一時的関心」こそ、韓国がノーベル賞を獲得できない理由を最もよく示している。

ノーベル賞は科学者個人の栄誉であると同時に、社会がどれだけ長年にわたり基礎科学を黙々と尊重してきたかを示す結果だ。成果がすぐに目に見えなくても、研究の土壌を着実に育んできた国でのみ可能だ。しかし、韓国では毎年10月になると科学を語り、それ以外の11カ月は研究現場を忘れてしまう。そのうえ、科学を語る時でさえ常に短期成果に焦り、研究を「成果管理プロジェクト」のように扱う。

最近の国政監査で再び問題となった尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の研究開発(R&D)予算削減論議は、その一端を如実に示している。2024年度の国家R&D予算は前年度比16.6%減の25兆9千億ウォンで編成された。1991年以降、33年ぶりの大規模減額だった。尹氏が「非効率とカルテルを排除すべきだ」と指示したことで、「ゼロベース」方式の再編が進められた結果だった。大統領室主導で急いで進められた予算削減は手続き上も問題だったが、何より科学界に大きな傷を残した。多数の研究課題が減額または中断され、人件費が削減された研究室では研究者が去っていった。今年会ったある科学者は「IMF通貨危機の際もR&D予算は削減されなかった」とし、「多くの若手研究者が『予算効率化』に押されて行き場を失った」と嘆いた。

ただでさえグローバルな科学人材の争奪戦が繰り広げられている中、韓国では逆にR&D予算まで削減されたため、人材流出は加速した。実際、今年5月に東亜(トンア)日報と韓国科学技術翰林(ハンリム)院が共同で行った調査では、国内の理工系有力学者200人のうち61.5%が過去5年間に海外から招聘の申し出を受け、そのうち42%が実際に受諾または検討中だと答えた。より良い研究環境と長期支援、そして「失敗を許容する制度」があることが理由だった。最近も国内有力学者の中国行きのニュースが相次いでいる。

幸いにも政府は、来年度のR&D予算を19%増の35兆3千億ウォンで編成した。国内科学者の海外流出を防ぐため、官民合同タスクフォース(TF)を発足させ、理工系人材政策も発表する予定だ。しかし、中断された研究を再び軌道に乗せ、人材を取り戻すには長い時間を要するだろう。さらに科学者の意識を変えるには、より長い時間がかかる。科学者は長期的研究計画を立てにくい韓国を「留まりにくい国」と見なしている。

研究費を減らし、人材を守れないまま「いつになったら我々もノーベル賞を受けられるのか」と問うのは空虚だ。我々が真にノーベル賞を望むなら、10月だけでなく残りの11カ月間も科学を語らなければならない。長期的視野で失敗に耐えるシステム、研究者を信頼する社会を築き、科学を政治の道具ではなく「国家の言語」とすることが必要だ。「一時的関心」ではなく、蓄積の時間こそが韓国の科学を世界の中心に押し上げる道だ。