
国内の研究チームが、胚性幹細胞(ES細胞)由来のパーキンソン病治療薬の臨床試験で安全性と有効性を確認し、その結果を国際学術誌に発表した。臨床の結果、歩くこともできなかった患者が卓球やバドミントンを楽しむなどの改善効果が見られたという。ES細胞を活用したパーキンソン病治療薬の臨床に乗り出したのは、韓国が米国に続いて世界で2番目となる。
延世(ヨンセ)大学医学部生理学教室の金東旭(キム・ドンウク)教授、延世大学セブランス病院神経科学教室のイ・ピルヒュ教授、高麗(コリョ)大学安岩(アンアム)病院脳神経外科の張振友(チャン・ジンウ)教授の研究チームは、ES細胞由来のパーキンソン病治療薬の第1・2相臨床試験結果を国際学術誌「セル」の14日号に発表した。「セル」は「ネイチャー」「サイエンス」と並ぶ世界3大学術誌の一つとして知られている。
研究チームが臨床試験を行った治療薬は、人間のES細胞由来のドーパミン細胞治療薬だ。パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンを生成する神経細胞が失われることで発症する退行性脳疾患だ。ドーパミン細胞のおよそ60~70%が死滅すると、運動機能の低下などの症状が現れ始める。現在は、ドーパミン分泌を調節する薬であるレボドパなどの薬剤が使用されているが、長期服用時には副作用が出るほか、症状の進行を遅らせるにとどまり、根本的な改善には限界がある。
これに対し、人間のES細胞由来のドーパミン神経細胞を移植すれば、ドーパミンを持続的に生成できるため、根本的治療が可能になると期待されている。研究チームは、パーキンソン病と診断されてから5年以上が経過し、既存の薬物治療で副作用を示した患者12人を対象に臨床試験を実施した。脳にドーパミン神経細胞を移植した後、1年間追跡観察した結果、高用量投与群では症状が平均43.1%改善し、低用量投与群では平均27.8%改善した。評価には、パーキンソン病の症状を重症度に応じて段階的に区分する「ホーエン・ヤール尺度」が用いられた。また、脳の画像診断では、移植されたドーパミン神経細胞が良好に生着していることも確認された。
臨床参加者の中には、パーキンソン病でオーケストラの指揮を中断していたが、臨床試験参加後に再び指揮を執るようになった例もあった。
今回の研究は延世大学セブランス病院で行われ、研究の責任著者である金東旭教授が最高技術責任者(CTO)を務めるエスバイオメディクスも共同参加した。研究チームは今回の臨床結果をもとに、第3相臨床試験まで進む計画だ。
チェ・ジウォン記者 jwchoi@donga.com






