北朝鮮は10日夜、平壌(ピョンヤン)の金日成(キム・イルソン)広場で大規模な兵力と装備を動員し、朝鮮労働党創建80周年を記念する軍事パレードを開催した。北朝鮮は新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)20」や極超音速ミサイルなどの戦略兵器に加え、新型戦車「千馬(チョンマ)20」、ドローン発射車両など従来兵器の近代化も誇示した。主席壇の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の左右には、中国の李強首相、ベトナムのトー・ラム共産党書記長、ロシアのメドベージェフ国家安全保障会議副議長が並んだ。正恩氏は継続的な国防力強化を誓い、「不正義と覇権に反対する共同闘争において責任を果たす」と述べた。
今回の軍事パレードは、北朝鮮の「生存外交」が最高潮に達したことを示したといえる。正恩氏は先月3日、中国の「抗日戦争勝利80年」の軍事パレードで中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領と並んで立った。そして約1カ月後に平壌で中ロ両国のナンバー2の要人を両脇に置き、反西側陣営の中心に立つ場面を作った。それだけではない。ベトナムやラオスの国家元首をはじめ10カ国あまりの代表団を迎え、多国間外交の舞台を演出することで、もはや「孤立国」ではないことを示した。さらに軍事パレードで「最強の核戦略兵器」を公開し、事実上の核保有国であることを誇示した。
このような北朝鮮の地位の変化は、核・ミサイルの高度化による自信を基盤に、米中間の覇権対立が生んだ新冷戦の流れに迅速に乗った結果だろう。この過程で北朝鮮は、ロシアへの派兵のような冒険主義的な賭けや、ロシアを通じた中国への迂回的接近といった特有の等距離生存戦略を駆使した。それによって達成した外交的飛躍ではあるが、今が北朝鮮外交の最盛期であり、今後は不確実性の中で下り坂ということを正恩氏自身も知らないはずがない。正恩氏の高まる自尊心が今後どのような外交的な動きにつながるか、注視する必要がある。
北朝鮮はすでに8月、外務省局長協議会を通じて「敵対国に対する外交的先制対応」を言及し、攻撃的外交行動を予告した。正恩氏は8年前、戦争直前の韓半島の対立情勢下で「核武力完成」を宣言した後、対話への劇的な転換を主導したように、今回も再び華麗な変身を見せる可能性が少なくない。すでにトランプ米大統領に対して「非核化への執念を捨てるなら向き合えない理由はない」として対話の可能性を開いている。米朝直接交渉がいつ起こるか分からない中、韓米間の調整は十分に行われているのだろうか。
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