
今月末に韓国・慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で米中両国の首脳会談が予定される中、中国が9日、レアアース(希土類)の輸出統制をさらに強化すると発表した。年初から報復措置の応酬で激化してきた米中貿易摩擦の解消を探る首脳会談を前に、中国がけん制球を投じた格好だ。「トランプ高関税政策」への対抗として、欧州連合(EU)が7日(現地時間)、輸入鉄鋼の関税率を50%に引き上げたのに続き、中国もレアアースの統制水準を引き上げたことで、保護貿易主義が一段と広がっているとの見方が出ている。
中国商務省が同日発表した「レアアース関連海外輸出統制措置実施決定」によると、中国国外で中国産のレアアースを混合して永久磁石などを製造する場合(レアアース含有率0.1%以上)は輸出許可を得なければならない。また、中国はレアアースの採掘・精錬、永久磁石の製造、2次資源のリサイクル技術などもすべて輸出統制の対象に含めた。
中国は4月、米国による関税圧力への対抗としてレアアース輸出統制措置を電撃的に発表した。今回は、迂回輸出を防ぐための追加措置を盛り込み、規制の強度をさらに高めた形だ。米国、日本、欧州などがレアアースへの中国依存を低下させるため供給網の多角化を進めている中、少なからぬ負担となるとみられる。英紙フィナンシャル・タイムズは今回の措置について、「中国が海外で使用される自国のレアアース素材にまで規制を拡大した初の事例」と伝えた。
中国商務省は同日、「レアアース関連品目は2重用途(商業用と軍事用の双方に使用される物品)の性格を持ち、輸出統制の実施は国際的にも通用する方式だ」と説明したうえで、「一部の海外組織や個人が中国産レアアース統制物資を外部に提供し、中国の国家利益に重大な損害を与えた」と強調した。従来のレアアース規制を回避するための迂回輸出を積極的に遮断する姿勢を明確にしたのだ。
このように、トランプ大統領就任後に火が付いた保護貿易主義は、いっそう拡散する様相を見せている。EU欧州委員会は7日、すべての輸入鉄鋼製品に対する年間無関税割当量を最大1830万トンへと大幅に削減し、輸入割当を超える分に課される関税率を25%から50%に引き上げると発表した。これは、トランプ政権が6月に輸入鉄鋼に50%の関税を課したことへの対抗措置だ。さらにトランプ政権は6日、来月1日から中大型トラックに25%の関税を課すと発表し、医薬品や半導体などへの関税賦課も検討している。
金喆仲 tnf@donga.com






