Go to contents

FTA無関税の恩恵終了、韓国自動車の「真剣勝負」はこれからだ

FTA無関税の恩恵終了、韓国自動車の「真剣勝負」はこれからだ

Posted August. 13, 2025 09:16,   

Updated August. 13, 2025 09:16


失って初めてその真価に気づくものがある。2012年に発効された韓米自由貿易協定(FTA)もその一つになりそうだ。推進当時の苦痛は極めて激しかった。韓日併合を招いた「第二次韓日協約」と同じだという反発の中、街頭集会が続き、国会採決の日には催涙ガスが噴射されて本会議場が修羅場となった。主要産業が崩壊するという警告も連日飛び交った。

しかし激しかった社会的反対と懸念とは裏腹に、10年以上の歳月が流れる中でFTAは「対米輸出の支え」としての姿を現した。韓国の対米輸出は12年の586億ドルから24年には1278億ドルに増加し、貿易収支の黒字は557億ドルに跳ね上がった。米国は韓国の「最大黒字国」として浮上し、現代(ヒョンデ)自動車など主要企業もFTAを足掛かりに米国市場で存在感を高めた。オンライン上では「当時反対していたFTAが韓国経済のヒーローだった」という「FTA再評価論」まで浮上した。

その韓米FTAが今回の関税交渉で13年ぶりに事実上効力を失うことになった。特に自動車分野の打撃が大きい。過去FTAのおかげで韓国自動車は日本や欧州が2.5%の品目関税を支払う間、無関税の恩恵を受けて価格競争力を確保していた。しかし今後は同等に15%の関税が適用されるため、過去のような「コスパ」戦略を展開することが難しくなった。

さらに突然FTAの枠を外れることになったため、準備も不足していた。投資業界などによると、昨年の現代自動車の現地生産比率は43.0%にとどまる。一方、1980〜90年代に米国の生産ラインを拡大してきた日本のトヨタは52.3%、ホンダは80.3%、日産も63.6%を米国工場で生産している。無関税のために現地化戦略が遅れた結果だ。同じ15%の関税なら、現地生産比率が低い韓国にとって打撃が大きくなるほかない。

結局、解決策は一つだ。失われた関税恩恵を代替する競争力を作らなければならない。現地生産の拡大、サプライチェーンの高度化、研究開発(R&D)投資の強化は、選択ではなく生存のための必須課題だ。最近、現代自動車が米国ビッグ3完成車企業の「ライバル」ゼネラルモーターズ(GM)と新車共同開発のために手を組んだように、過去には想像もできなかった破壊的な革新の試みも続けなければならない。

幸いにも韓国には過去にも危機をチャンスに変えた経験がある。99年、現代自動車は競合他社が「2年・2万4千マイル保証制度」を実施していた時に「10年・10万マイル無償保証制度」を導入し、米国市場で話題を呼んだ。2008年の世界金融危機で、米国の自動車需要が急減した時には、「購入後1年以内に失業すれば車を買い戻す」という「アシュアランスプログラム」を打ち出し、シェアを拡大したこともある。

FTAの恩恵は終わり、今こそ本当の真剣勝負の始まりだ。保護膜なしで市場の真ん中に立ち、独自の競争力を証明しなければならない。10年後、今の選択が韓国自動車産業を決定づけたという話をしているかもしれない。