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「アゲイン2018」に興味ない北朝鮮、南北関係に「プランB」が必要だ

「アゲイン2018」に興味ない北朝鮮、南北関係に「プランB」が必要だ

Posted June. 26, 2025 08:33,   

Updated June. 26, 2025 08:33


「プランBとは何か」

最近、国家企画委員会による統一部の業務報告でこのような質問があったという。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が2023年末に「敵対的な2国家関係」を宣言しており、韓国政府の南北関係回復の努力にもかかわらず北朝鮮が応じなければ、代案があるのかという趣旨だった。場は沈黙に包まれた。

韓半島の平和構築に向けて、李在明(イ・ジェミョン)政権が掲げた公約のうち2つが、就任から1週間で現実のものとなった。1年間稼働していた北朝鮮向けの拡声器放送が中止され、北朝鮮に向けてビラを撒く民間団体に対しても取り締まりや処罰が予告された。担当省庁である国防部と統一部ですら「予想外の速さ」との反応があった。これに対して北朝鮮が韓国への騒音放送中止で応じるのに1日もかからなかった。

異例の迅速な先制措置が効果を上げたことで、北朝鮮が今後も歩調を合わせてくる可能性が期待されるものの、冷静に見る必要がある。北朝鮮の放送中止は、韓国の政権交代や対南路線の転換によるものではなく、相応的な措置に近い。北朝鮮の論理では、対南放送は対北放送が原因で始まったので、中止されたということだ。北朝鮮事情に詳しいある消息筋は「保衛部が接境地帯の住民に『傀儡(韓国)が尻尾を巻いた』というような宣伝をしているだろう」と話した。

北朝鮮の対内外の状況を見ても、南北関係の展望はあまり明るくない。内部的には、10月の労働党創建80年と来年初めの第9回党大会を控えた北朝鮮は、ウクライナ戦争の停戦交渉が膠着した状況を利用して、ロシアとの追加派兵に合意した。すでに2年以上ロシアと密着しており、軍事分野だけでなく、食糧・原材料・精製油などを受け取り、経済分野でも活路を模索した。正恩氏の自信は、昨年「10年で毎年20の市・郡に近代的工場を建設する」という「地方発展20×10」政策にも表れている。

さらに、2年以上前に先代の遺訓である統一を削除し、強硬な対南断絶に踏み切った正恩氏がこれを覆すには、住民に対する正当化のために大きな決断が必要となる。ロシアが支援し、韓米が対話を呼びかける現在の状況を、正恩氏の執権以降、最も有利な戦略的環境と見る見方も少なくない。崖っぷちに追い詰められた韓半島情勢が、正恩氏の新年辞によって一変した2018年を再び期待するのは難しいということだ。

「プランB」をきちんと用意せず、相互主義への期待にばかり没頭すれば、南北関係は政権リスクに直結しうる。19年の米朝ハノイ「ノーディール」以降、終戦宣言にこだわったまま成果なく任期を終えた文在寅(ムン・ジェイン)政権には、常に「対北低姿勢」「北朝鮮への顔色うかがい」といった批判が付きまとった。当時、韓国を利用して米朝対話の推進力を得ようとした正恩氏は、その失敗を教訓に、たとえトランプ大統領との対話に臨んだとしても、李在明(イ・ジェミョン)大統領は排除しようとするかもしれない。

接境地域の住民の苦痛を和らげるための北朝鮮向け放送の中止という先制措置はやむを得なかったとしても、問題はこれからだ。現政権が韓半島の平和定着を超え、最終的に北朝鮮の非核化を実現する意思があるなら、9・19南北軍事合意の復元など、次の対北カードを切る時期と方法について慎重な検討が必要だ。そして次のステップに進む頃には、「プランB」が何なのかについて明確な答えが用意されていなければならない。