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子どもだけでなく親も減る韓国

Posted June. 02, 2025 09:51,   

Updated June. 02, 2025 09:51


第1四半期(1~3月)の合計出生率が0.82人を記録した。出生児数の増加率は前年同期比7.4%だ。1981年の公式統計を取り始めて以来の最高値となる。3月基準で、出生児数が前年より増えたのは10年ぶりのことだ。

昨年は合計出生率が9年ぶりに持ちなおった。この傾向が続けば、今年の出生率は0.8人を超えるだろうという見方も出ている。数年間にわたって繰り返された「最低値の更新」、「過去最大幅の減少」のニュースに、今は落ちるのはもう「ニュー」でもないという懐疑論まで広まっていた関連機関と学界でも、久しぶりにニュースらしいニュースに浮き立った様子だ。第1四半期の婚姻件数も5万8704件で、8.4%伸びたことが分かった。非婚出産が極めて少ない韓国で、婚姻率の増加は出生率増加の前触れと受け止められている。いよいよ出生率が底を打ち、政府目標である2030年までに合計出生率1.0人を無難に達成するという楽観論が出ている。

しかし、忘れてはならないことがある。たとえ政府の目標値通りに出生率が上がっても、韓国が世界最低水準の少子化国家という現実は変わらないということだ。世界銀行の2023年の世界中の合計出生率資料によると、出生率が0人台の国は韓国だけだ。史上最悪の少子化に見舞われているというドイツの出生率は、韓国の2倍の水準だ。韓国は依然として出生率最下位、それもただの最下位ではなく「圧倒的な」最下位国家だ。

しかも、長い間累積された少子化で、可妊人口まで減っている。簡単に言えば、子供だけでなく「お母さん、お父さんも消えている」という話だ。お母さん、お父さんが減れば、出生率が増えても出生児数が増えないこともある。実際、出生率が1.18人だった2002年の出生児数は49万6911人だったが、出生率が1.3人とさらに高くなった2012年の出生児数はむしろ48万4550人に減った。その間に可妊人口が減ったためだ。

今は戦後ベビーブーム世代の子供であるいわゆる「エコ世代」が残っていて、両親人口を支えている。彼らが去り、1990年代後半以降に生まれた「少子化キッズ」たちが結婚・出産の主要世代に進入すれば、可妊人口減少の影響が本格化するだろう。1980年代に80万人だった出生児数は、2000年代には40万人と半分に減った。親が80万人なら0.6人ずつ産んでも子供が24万人だが、親が40万人に減れば1.0人ずつ産んでも子供は20万人に減る。

圧倒的な少子化にもかかわらず、これまで人口減少が目立たなかったのは、寿命延長で高齢人口が増えたためだ。しかし、それさえも減った出生に圧倒される日は遠くない。統計庁の人口推計によると、出生率が今より高くなっても(高位推計)、45年後の韓国人口は3000万人台に減少する。

まるで少子化問題が解消されているかのように安心してはならないという意味だ。出生率が2、3人台に上がらない限り、人口縮小の社会は避けられない。与野党を問わず、少子高齢化対策を主要大統領選挙公約に掲げている。しかし、主要政策から「少子化」という言葉が消えるなど、危機感は以前より減っているような気がする。危機は消えていない。速度が少し遅くなっただけだ。明日を迎える指導者が誰であれ、私たちが人口減少の衝撃に備える時間をただもう少し稼いだだけだということを忘れないでほしい。