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大統領候補を外部から迎えてまた惨事、党内で育成できなかったツケ

大統領候補を外部から迎えてまた惨事、党内で育成できなかったツケ

Posted May. 16, 2025 09:26,   

Updated May. 16, 2025 09:26


「私たちはプラットフォーム政党なのか」

先月上旬、与党「国民の力」で韓悳洙(ハン・ドクス)前首相擁立論が浮上すると、党のある関係者はこのように述べた。同関係者は、「韓前首相に政党人としてのアイデンティティや同志意識があるのか」とし、「党が法曹人、官僚などを連れてきて世話だけしようとしている」と非難した。

韓氏擁立論の結末は、ご存知の通り、想像を超える大惨事だった。この惨事は、政治参加9日で巨大保守政党の候補を狙った韓氏が招いた面が大きい。2日に出馬を宣言した韓氏は、候補登録日(11日)までに一本化が終わらなければ候補登録をしないという背水の陣を敷いた。事実上、期限付きの無所属候補だったのだ。

これは、「候補登録日前に一本化を完了する」と公言していた金文洙(キム・ムンス)候補が発言を翻す口実となった。金氏は「党員でもなく、(候補)登録もしないという人が『一本化を約束したのにしないのか』と要求することは、全世界の歴史上初めてだ」と抗議した。

韓氏も問題だが、またも党外の大統領候補を迎え入れようとした「国民の力」の習性がより問題だ。「国民の力」は、前回の大統領選で、検事総長だった尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏を迎え入れ、全面的に推して大統領候補にした。本選で尹氏の資質論、シャーマニズム論議などが浮上し、ずさんな検証が問題となったが、代案のなかった「国民の力」としては他の選択肢がなかった。

尹氏の政治経験不足は、独断と「不通」の態度につながった。尹氏が既存の政治家と国会を無視する言動をするのに対し、私的な席で憤りをあらわにした国会議員が一人や二人ではなかった。

しかし、党に負い目を感じていない尹氏を党は統制できなかった。やはり政治経験のない韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官(当時)を非常対策委員長に据え、尹氏との意思疎通を図った。しかし、これは党と政府の対立につながり、結局、「非常戒厳」事態まで発生した。

それでも「国民の力」は、またも外部の候補に運命をかけた。とりあえず勝とうという心理だった。韓氏を巡り、「政治経験はないが行政経験が50年なので、検事出身とは違う」という苦しい論理が出てきた。「外から傭兵を呼んで大統領にした結果がこれなのに、また傭兵を呼ぶのが正しいのか」という批判には目をつぶった。

このように外部の人材を大統領候補として擁立しようとする試みは、党内候補が枯渇する悪循環につながりかねない。党に何十年も献身してきた政治家を無視する行為と映り、大統領を夢見る政治家に疑念を抱かせかねないからだ。大統領候補を選ぶ予備選に出馬した5期の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員が、「わが党は結局、外部候補頼みだ」と嘆き、1期目の金宰燮(キム・ジェソプ)議員が、「大統領候補を育てられない政党なのか」と自嘲するのが現実だ。

「国民の力」は、党内の候補育成に死活を賭けなければならない。口先だけだった青年政治家育成を始め、最大野党「共に民主党」に比べて脆弱な議員評価制度も整備する必要がある。さらに、自党の政権下では議員を積極的に内閣に送り込み、行政経験を積ませなければならない。外部出身の尹氏が閣僚に起用した現職の議員は、大学と検察の先輩である権寧世(クォン・ヨンセ)議員一人だけだったことを改めて認識すべきだろう。