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青年は50万ウォン、農民は60万ウォン、自閉症児童家庭は17万ウォン

青年は50万ウォン、農民は60万ウォン、自閉症児童家庭は17万ウォン

Posted March. 03, 2025 09:04,   

Updated March. 03, 2025 09:04

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「私がいたら、違ったかもですね…」

先月20日、ソウルの葬儀場で東亜(トンア)日報の記者と会ったキム氏の言葉だ。人がまばらに座っている遺体安置所の人は、彼の10代の娘である。キム氏は2日前、恩平区碌磻洞(ウンピョング・ノクボンドン)にある自宅(多世帯住宅)で、真夜中に起きた火災で娘を失った。妻と息子はこの火災で重傷を負った。キム氏は、「妻が怪我をしたのを見ると、子供を助けようとして、手と顔にやけどを負っているようだ」と話した。

火事が起きた夜、キム氏が自宅にいなかったのは貧困のためだった。彼らの家庭は次上位階層であり、娘は自閉症を患っていた。自閉症を患う子供は、両親のうち1人が一日中そばで面倒を見なければならない。キム氏の妻が、仕事ができなかった理由だ。4人家族の生計を背負っていたキム氏は、夜間勤務をする職場に通った。昼間勤務よりお金をもっとたくさんもらったからだ。あの当日、キム氏は夜間勤務のために家を空けていた。

国がこの家族に背を向けたわけではない。重度障害者だったキム氏に、毎月17万ウォンの金が出た。また、区役所からコメのような生活必需品の支援を受けたという。1日に13時間の徹夜労働をするキム氏が記憶する国が彼らに見せた関心はそこまでだった。

基礎生活受給者なら、毎月最大195万ウォンの生計給付が支給されるが、次上位階層の彼らには生計給付は支給されなかった。月最大50万ウォンの住居給付も該当しなかった。彼らは鹿番洞に、マイホームがあるという理由だった。鹿番洞一帯でキム氏所有の住宅と似た坪数のビラ(長屋のような集合住宅)の売買価格は2億ウォン前後だ。娘の命を奪ったその住宅は、娘の障害のために定着しなければならず、借金をして無理に購入したものだった。

自閉症のような発達障害のいる家庭の貧困問題は、統計でも現われている。韓国障害者雇用公団がまとめた「2023年の発達障害者の仕事と生活実態調査」によれば、発達障害者のいる家庭の月平均所得は275万1000ウォンだった。同年の統計庁基準で、韓国の1世帯当たりの月平均所得502万4000ウォンの約54%に過ぎない。共働きが平均である最近、両親の片方が仕事ができない現実が統計に赤裸々に反映されている。このような貧困の泥沼は、発達障害者家庭の40.1%を基礎受給対象者にしている。

もちろん、キム氏家族のような人々に、むやみに大きな金額を支援しようというのではない。キム氏家族よりもっと厳しい立場にあるが、福祉制度の恩恵を受けられない人もいるだろう。ただ、「青年」という名で毎月50万ウォンを、「農民」という名で60万ウォンを与える国で、これらの家族に与えた金が毎月17万ウォンしかなかったということをどう受け止めればいいのか。果たして今の福祉制度は、正義だと言えるのか疑問だ。

幸い、東亜日報の報道(2025年2月22日付A8面参照)に接した後、与党「国民の力」の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員室で、国民基礎生活保障法の一部改正法律案の発議を準備している。基礎生活保障受給者選定のために所得と財産を計算する時、重症障害者がいる低所得家庭は、住宅があっても恩恵を受けられるように基準を緩和する案となっている。かなり遅れたが、政界のより大きな関心を期待する。