Go to contents

ジャーナリスト個人を攻撃するトランプ氏に対する懸念

ジャーナリスト個人を攻撃するトランプ氏に対する懸念

Posted February. 20, 2025 08:58,   

Updated February. 20, 2025 08:58

한국어

トランプ米大統領は政権1期目の時、米紙ニューヨーク・タイムズ、CNNなどの主流メディアを「国民の敵」「虚偽情報」と批判した。特に、キューバ系のジム・アコスタ元CNN記者(53)との対立は大きな話題となった。アコスタ氏の父親は、キューバのミサイル危機、独裁者フィデル・カストロ国家評議会議長(当時)の圧政から逃れて1962年に米国に渡った難民だ。

アコスタ氏は2016年、キューバの首都ハバナで開かれた記者会見で、フィデル氏の弟で当時キューバの最高指導者だったラウル・カストロ国家評議会議と対峙した。アコスタ氏は、ラウル氏にカストロ政権の独裁と人権弾圧に関する鋭い質問を浴びせた。後日、「この時が記者人生で最も輝いていた」とし、「暴君に頭を下げていい時はない」と述べた。

移民2世であるアコスタ氏は、第1次トランプ政権の反移民政策を強く批判した。18年1月、トランプ氏はカリブ海のハイチやアフリカ諸国を「肥だめ(shithole)のような国」と侮辱した。アコスタ氏は当時、ホワイトハウスの記者会見で、「なぜこのような表現を使ったのか」と質問した。トランプ氏が「出て行け」と叫び、参謀陣がアコスタ氏を外に連れ出した。同年11月、アコスタ氏が中南米の不法移民「キャラバン」に関する質問をすると、トランプ氏はまた怒り、「無礼でひどい人間」と非難した。

トランプ氏が昨年11月の大統領選挙で勝利すると、CNN側は、午前10時台の番組を進行していたアコスタ氏に視聴率の低い深夜の時間帯に移るよう言った。左遷性の人事に反発したアコスタ氏は、「権力に責任を問うのはメディアの使命」という言葉を残して先月28日に退社した。ただし、この失職はトランプ氏側の圧力ではなく、CNN側の「忖度」の性格が強かった。

問題は、政権2期目のトランプ氏と側近が引き続き批判的なジャーナリストに露骨な解雇圧力をかけていることだ。トランプ氏は7日、トゥルース・ソーシャルに、米紙ワシントン・ポストの黒人男性コラムニスト、ユージン・ロビンソン氏について、「無能だ。すぐに解雇すべきだ」と書いた。ロビンソン氏が前日、第2次トランプ政権の米国際開発庁(USAID)閉鎖の試みや、ヘグセス国防長官のような物議を醸す人物の起用を批判したコラムを書いたからだ。

ロビンソン氏は、オバマ元大統領の大統領選挙キャンペーンを論評したコラムで、09年にピューリッツァー賞(論説部門)を受賞した。トランプ氏はこのようなロビンソン氏の性向も問題視し、「哀れな急進左派」と強調した。米政府効率化省(DOGE)を率いる実業家のイーロン・マスク氏も同日、DOGEの一部職員の人種差別的な行為を指摘した米紙ウォールストリート・ジャーナルの白人女性記者キャサリン・ロング氏に対して、「おぞましく残忍だ。解雇されるべきだ」と述べた。

第2次トランプ政権は、ニューヨーク・タイムズやポリティコなど一部のメディアの購読を解約し、公共放送PBSへの支援停止も検討している。このような行為には決して同意できないが、権力者がメディアと不和になるのは今に始まったことではない。しかし、ジャーナリスト個人を名指しして「飯の種」まで断とうとするのは全く別問題だ。

任期が有限である政治権力がジャーナリストに口封じをしようとする試みは通用しないばかりか、稚拙であるということが本当に分からないのだろうか。「新聞のない政府か、政府のない新聞か、いずれかを選べと言われれば、私は後者を選ぶ」と言った米第3代大統領トーマス・ジェファーソンの言葉をトランプ氏に聞かせたい。