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深夜の裁判所での乱闘と扇動が2025年のソウルのど真ん中で? 信じられるか

深夜の裁判所での乱闘と扇動が2025年のソウルのど真ん中で? 信じられるか

Posted January. 20, 2025 08:48,   

Updated January. 20, 2025 08:48

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19日未明、ソウル西部地裁で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する逮捕状が発付されると、裁判所の前に集まっていた支持者らが暴徒化し、裁判所の建物に無断侵入する事態が発生した。法治主義の最後の砦である裁判所に対するテロは、憲政史上初めてのことだ。デモ隊は同日の午後、大統領弾劾審理が行われている憲法裁判所に再び集結しようとした。

ソウル地裁で起きた暴力事態は、模範的な新興民主主義国家の首都の中心で起きたことだとは信じられないほど衝撃的だ。同日午前3時頃、尹大統領の逮捕状発付が伝えられると、大統領支持者数百人がポリスラインを突破して裁判所の塀を越えて侵入し、警察から奪った装備や現場にあった鉄製の器具や消火器などで裁判所のガラス窓と外壁を壊し、裁判所の建物内に入った。暴徒を阻止する過程で42人の警察官が負傷し、公捜処の捜査官も殴られた。彼らは非武装の民間人や取材陣にも暴力を振るった。警察が1400人の警察官を動員してデモ隊を鎮圧するまでの3時間、西部地裁は無法地帯となった。

デモ隊が狙ったのは、逮捕状を発付した判事だった。彼らは「令状を出した判事を探せ」と裁判所の建物内に侵入し、実際に判事室がある5、6階まで行ったという。当時、事務所に判事が残っていたら、どんな目に遭ったかわからない。南米のような第3世界で時折起こるような裁判所や判事へのテロを、最も安全な都市として知られるソウルのど真ん中で目撃するとは誰が予想しただろうか。当時、現場には極右ユーチューバーが「国民抵抗権」を叫び、暴力デモ隊を扇動したという。民主主義の原理と法治主義を否定する深刻な犯罪だ。裁判所で暴れた人はもとより、暴力を扇動した人も徹底的に捜査し、厳罰に処さなければならない。

支持者たちが起こした暴力事態について、最も重い責任を感じなければならないのは尹大統領だろう。尹大統領は官邸で「籠城」した時、支持者に対して「愛国市民」「熱い愛国心」云々し、逮捕反対デモを煽っていると批判を受けた。にもかかわらず、同日午後、獄中声明で、「平和的な方法で意思を表明してほしい」とし、警察に「強硬な対応より寛容な姿勢」を求めた。支持者の暴力事態を警察の強硬鎮圧のせいにする発言だ。違法ストやデモに対しては「カルテル」と言い、誰よりも強硬な対応を指示した大統領ではないか。

与党も「暴力の責任をデモ隊に一方的に問うことができない状況」とし、「民主労総など他の違法集会では見られなかった警察の過剰対応と暴力行為について、迅速かつ十分な真相究明」を要求した。裁判所への暴動勢力の厳罰を促すどころか、警察の対応を問題視しているのだ。与党「国民の力」の尹相現(ユン・サンヒョン)議員は、暴力事態の前日に西部地裁の塀を越えて逮捕されたデモ隊に言及し、「すぐに釈放されるだろう」「愛国市民の皆さんに感謝する」と述べた。保守集会を主催した全光焄(チョン・グァンフン)牧師は、「ソウル拘置所に無理やりにでも入って大統領を連れ出そう」と煽った。尹議員と全牧師の扇動はなぜ問題視されないのか。

海外メディアは、初の現職大統領の逮捕と異例の裁判所乱闘事態を緊急ニュースとして伝えた。約1ヵ月前、非常戒厳が国会の迅速な決議で無力化されると、海外メディアは「韓国民主主義の回復力」を肯定的に評価した。しかし、大統領の拘束令状の執行をめぐる武装公権力との対峙に続き、裁判所へのテロ事態まで発生したことで、国家の威信と対外的な信用度がどれだけ下落するか心配だ。支持者が犯罪者になろうがなるまいが、暴徒の「後ろ盾」であるかのように「最後まで戦う」という獄中メッセージで世論を扇動する大統領、そのような大統領に明確な線を引けない無責任な与党が、国を物理的衝突も辞さない混乱に陥れている。