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「世界へ行くK文学、ブッカー賞の栄光をつかむには翻訳をもっと支援しなければ」

「世界へ行くK文学、ブッカー賞の栄光をつかむには翻訳をもっと支援しなければ」

Posted July. 31, 2024 09:00,   

Updated July. 31, 2024 09:00


「ブッカー賞の波及力を知っているからこそ、より慎重に審査に臨むつもりです」

最近、世界的権威の文学賞である国際ブッカー賞の審査委員に指名された翻訳家アントン・ホ氏(ホ・ジョンボム・43)の表情は真剣だった。ホ氏は、2022年、チョン・ボラの『呪いのウサギ』、パク・サンヨンの『大都市の愛し方』の国際ブッカー賞ノミネートに貢献した実力派の翻訳家だ。韓国人でブッカー賞の審査員を務めるのはホ氏が初めてだ。ホ氏は幼い頃、父親について9年間米国など海外で生活し、英語に親しんだ。26日、ホ氏にブッカー賞の審査過程と韓国文学の競争力について話を聞いた。

国際ブッカー賞の授賞式は来年5月20日、英ロンドンで開かれる。これに先立ち、来年2月25日に1次ノミネート作(12、13冊)、4月8日に最終ノミネート作(6冊)が発表される。受付はすでに今月10日から始まっている。作家の国籍に関係なく、英語に翻訳され、英国やアイルランドで出版された作品が対象だ。ノーベル文学賞、ゴンクール賞と並ぶ世界3大文学賞とされる国際ブッカー賞には、これまでペルシャ語、ベトナム語、アルメニア語など63の言語で原作が書かれた作品が審査対象となった。ブッカー賞が「文学界のオリンピック」と呼ばれる理由だ。

受付が開始されると、審査員に緘口令が敷かれる。来年度のノミネート作となる今年5月1日から来年4月30日の間に出版される翻訳書について、いかなるコメントもできないのだ。SNSでの言及も禁止され、推薦文も書けない。ホ氏は、「今も推薦文の提案メールが届くが、『申し訳ないができません』と返信するのが仕事だ」と笑った。

今回の審査員団はホ氏をはじめ、小説家、詩人、編集者、作曲家兼歌手など5人で構成された。彼らは毎月20~30冊、同じ本を読んで討論した後、合議制でノミネート作を決める。前回受賞作を決めた審査員団は149冊を読んだが、毎年対象作品の数が増えているという。ホ氏は、21年の全米翻訳賞審査員として活動した際、250冊の出品作を読んだ。本が好きだが、かなりの時間と努力が必要だ。報酬を尋ねると、ホ氏は「適切なレベル」と発言を控えた。

ここ数年、ブッカー賞と韓国文学は「相性」が良い。16年に韓江(ハン・ガン)が『菜食主義者』で受賞した後、18年には韓氏の小説『白い』、22年にはチョン・ボラの小説集『呪いのウサギ』、23年にはチョン・ミョングァンの長編『鯨』、そして今年は黄晳暎(ファン・ソクヨン)の長編『鉄道員三代』が最終ノミネートされた。

ホ氏はこのような韓国文学の台頭には、翻訳スタイルの変化が大きな役割を果たしたと説明した。英国人デバラ・スミスの『菜食主義者』の翻訳を機に、英米の読者に読まれる「意訳」が本格化したということだ。以前は英文学者中心で堅苦しい直訳で、英米などの市場から敬遠されたという。

ブッカー賞にノミネートされただけで販売量が大幅に増え、海外では「ブッカーバウンス(Booker bounce)」という言葉もある。韓氏の『菜食主義者』は07年出版後、10年間で国内で2万部売れたが、16年のブッカー賞受賞直後の2週間で50万部以上販売された。現在、『菜食主義者』はタミル語、ネパール語、ウルドゥー語など40の言語に翻訳出版されている。

ホ氏は、より多くの韓国作品が海外で注目されるには、翻訳に対する支援の拡大が重要だと話した。英語に翻訳される韓国作品が1年に10~20冊にすぎないという。ホ氏は、「韓国文学作品を海外で売るには、翻訳者がその作品を際立たせる必要がある」と強調した。


キム・ソミン記者 somin@donga.com