政府の医学部定員拡大方針に対し、大手病院の専攻医らが集団で辞意を表明したことを受け、一部の医学部教授らも批判の声を上げている。先進国の場合、医学部の定員を増やすことに反発して集団で辞職する例は見当たらないという。
ソウル大学医学部のキム・ユン教授は18日、東亜(トンア)日報との電話取材に対し、欧州の場合、公共病院で働く医師たちが賃上げを要求してデモをすることはあるが、だからといって、集中治療室と救急室を空けることはない」とし、「患者の生命を取り上げながら脅迫するのは非倫理的なことだ」と指摘した。また、キム教授は「韓国の場合、ソウルを除けば医師数が多いとは言えない」とし、「医学部増員だけで必須医療分野の医師不足問題は解決されないという医師団体の主張はその通りだが、だからこそ政府は10兆ウォン規模の必須医療対策を打ち出したではないか」と反問した。医学部の増員と必須医療対策は同時に推進しなければならない政策であって、二者択一の問題ではないという趣旨だ。
延世(ヨンセ)大学保健行政学科のチョン・ヒョンソン教授も、「医師団体は、大学病院の医師と専攻医が不足していると言いながら、医学部の定員拡大に反対するのは論理的にも合わない」と指摘した。また、ドイツや英国、日本などの国で高齢化に伴って医師数を増やした例を挙げ、「医師を増やすことに対し、韓国のように敏感に反応する事例は世界的に見当たらない」とも述べた。
医師出身の全羅北道(チョルラブクド)福祉女性局のカン・ヨンソク局長も18日、自身のフェイスブックを通じて、「医師協会の会員であることを恥ずかしく思い、これ以上会費の納付を拒否する」とし、「医師は国民のために存在するという使命を担っている。政権や政策への不満もあるだろうし、そのための集団行動も可能だろう。しかし、その手段と方法が国民の心を痛めたり背を向けることなら、決して正当だとは言えない」と批判した。
イ・ジウン記者 easy@donga.com