「名将病」の監督がコーディングに夢中になった理由

プロスポーツの指導者たちは、「首になれば」通常は海外研修に行く。「足りないことを満たして帰ってくる」と言われるが、言葉も通じないところで、事実上「見物人」として生活して帰ってくるのがどんな役に立つかはよく分からない。それよりは、「解任される過程でしわくちゃになった誇りを取り戻してくる時空間が必要だ」というのが、もう少し率直な理由ではないだろうか。いわば「名将病」の癒しの旅に出るのだ。

プロバレーボールで最もひどい名将病の患者は、現代（ヒョンデ）キャピタルのチェ・テウン前監督だった。インターネットのポータルサイトで調べると、彼に名将病の診断を初めて下した記事はファン・ギュイン記者、だからこの「光化門（クァンファムン）にて」を書いている人が書いた。それだけ、チェ氏の名将病をよく知っていると自負する。昨年１２月２１日に解任された後、１ヵ月以上引きこもっていた彼に最近会って、「名将病をどのように癒しているのか」と尋ねた。

一般の人はしないことだけを選んでやる人柄であることをよく知っているので、海外研修の話は切り出さないだろうと予想した。だからといって、「コーディングの勉強をしている」と答えるとは思わなかった。チェ氏は、「実は、チームにいる時も、時々コーディングの勉強をした。時間ができたので、コーディングをしっかり学んで、バレーボール作戦の構想にしっかり活用してみたい」と話した。

この話を聞いて、チェ氏が２０１５年の監督赴任後、中学校の数学問題集を解いたことを思い出した。当時、チェ氏は「数学をまたやっておけば、データ解析にひょっとして役に立つかもしれないと思った」とし、「恥ずかしくて照れくさいこともある。それでも、ちょうど数学のうまいフロント職員がいて、その職員をずいぶん苦しめながら学んでいる」と笑った。

チェ氏は、このような勉強をもとに、他人とは違う選択を下し始めた。他のチームはみんな１人の守備専門ポジションのリベロのポジションにあえて２人を起用したり、「ワンポイントサーブ専門選手」を別に育て、セットごとに抑え投手のように起用するやり方だった。興味深いのは、このような戦術が、今やプロバレーボールで「ニューノーマル」になっていることだ。それだけ、このような戦術はよく通用した。チェ氏は、「万年２位チーム」の現代キャピタルに、２度の優勝トロフィーをもたらした。

問題は、他人がしないことだけにあまりにもこだわっていたのが、結局毒になったということだ。そのため、「世の中には、すでにクビになった監督とこれからクビになる監督だけがいる」というプロスポーツ世界の論理を避けることができなかった。昨シーズン準優勝の現代キャピタルが、シーズンの折り返し点を控えて、「下から２位」をしているということは、クビになるに十分な理由だった。チェ氏の体制下で４勝（１３敗）にとどまっていた現代キャピタルは、彼が采配を手放した直後の次の試合から５連勝をマークした。このような結果と、チェ氏の名将病の間に何の関係もなければ嘘だ。

スポーツを１０年以上取材しながら感じたことがある。名将病にかかったすべての指導者が名将になるわけではないが、名将に仲間入りした指導者には、すべて名将病の症状があるということだ。その症状をうまく治めれば名将になるが、そうでなければ名将病患者として残る。コーディングの勉強が、チェ氏の名将病を、「管理可能な病気」に変えることができるか気になる。