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トランプ氏の「北朝鮮核容認」構想、米大統領選に備える安保チームを組め

トランプ氏の「北朝鮮核容認」構想、米大統領選に備える安保チームを組め

Posted December. 15, 2023 08:54,   

Updated December. 15, 2023 08:54

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米国のドナルド・トランプ元大統領が政権に復帰する場合、北朝鮮の核凍結の見返りに北朝鮮への制裁を緩和する取引を構想しているという米メディアの報道が出た。政治専門メディアのポリティコは13日、トランプ側の対北朝鮮構想について説明を受けた3人の話として、北朝鮮が核計画を凍結し核兵器開発を中止すれば、経済制裁を緩和し、他の形の一部支援も提供する案を検討していると報じた。これに対しトランプ氏は「捏造された虚偽情報」と一蹴した。その一方で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との親密な関係を誇示し、「無能な交渉家に任せることはできない」と述べた。

トランプ氏の否認にもかかわらず、事実上、北朝鮮の核兵器の保有を容認する「凍結対補償」取引構想は単なるハプニングとして見過ごすことはできない。トランプ氏はすでに任期中に金正恩氏と3回会談し非核化交渉を行っている。決裂したとはいえ、ハノイ会談で議論された「寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄と主要制裁の解除」の引き換え案も「凍結対補償」を前提にした取引の一種だった。トランプ氏は先日も「私が再選されていたら、とっくに北朝鮮との核合意を成功させていただろう」と述べており、来年当選すれば、それと似たような対北朝鮮交渉を再び試みる可能性がある。

現にトランプ氏の他にも、ワシントン政界では北朝鮮の核凍結交渉論が再びささやかれている。北朝鮮が核兵器を放棄する可能性が薄い状況下で、当面の脅威がさらに大きくなることから防がなければならないという主張は、すでに安保専門家グループから頻繁に出ている。今のように南北関係も米朝関係も行き詰った上、北朝鮮が中国やロシアと緊密に連携している状況での対立局面の持続は危険をさらに増大させるだけだという現実論からだ。しかし、北朝鮮の核を事実上容認する米朝取引は、直ちに韓国の核武装論を引き起こし、同盟間の亀裂をもたらすのは明らかだ。

北朝鮮は来年、さらに大きな挑発と脅迫で米大統領選を揺るがそうとする可能性が高い。6年前に相次ぐ核・ミサイル挑発で一触即発の対立状況を作り出した後、劇的な局面転換を通じて米朝直接取引で利益を得た金正恩氏だ。今回の米大統領選挙の機会も見逃さないだろう。韓国政府も特段の備えが必要だ。ちょうど尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が近く空席の国家情報院長をはじめ国家安保室長と外交部長官など外交安保ラインの交代人事を行うという。新しい外交安保チームは、同盟抑止力の強化を超え、米大統領選挙の変数まで念頭に置いた戦略的人材でなければならない。


イ・チョルヒ論説委員 klimt@donga.com