2018年から経済、外交・安全保障などで中国と全面的に衝突していたオーストラリアのアルバニージー首相が、現職首相としては16年以来7年ぶりに中国を訪れた。4~7日まで中国を訪問するアルバニージー氏は、最初の公式行事として5日に上海で開かれた中国国際輸入博覧会を訪れた。また、6日に北京で習近平国家主席、7日に李強首相らと会談する予定だ。
アルバニージー氏は5日、演説で、「国益のために忍耐強く慎重な方法を追求する」と明らかにした。そして、「対話と協力で両国関係を維持することは私たちすべての利益に合致する」としながらも、「すべての国は持続可能で包括的な貿易が発展するよう役割を果たさなければならない」という従来の立場も繰り返した。
中国との関係改善が必要だが、米国など西洋諸国が求めてきた「ルールに基づく貿易秩序」も必要だという点を挙げた発言とみられる。10日まで開かれる今回の博覧会は、中国が世界各国から過剰な貿易黒字を上げているという批判に対応するために2018年から開かれている。
これまでオーストラリア批判の先頭に立っていた共産党機関紙・人民日報系の環球時報も、「両国は相互補完関係」とし、アルバニージー氏の訪中を歓迎した。同紙の胡錫進・前総編集長が、両国の対立が激化した際、オーストラリアを「チューインガム」と非難したのとは対照的だ。
アルバニージー氏の前任者で親米のスコット・モリソン前首相は、米国の要請を受け入れ、18年に第5世代移動通信システム(5G)から中国の情報通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除した。20年には新型コロナウイルス感染症の「中国起源」を主張し、調査を求めた。これに対し、中国もオーストラリア産の石炭、ワイン、牛肉、大麦など10数品目に高率関税を課し、経済報復に乗り出した。
その後、昨年5月にアルバニージー氏が就任し、中国が石炭や木材、大麦など一部品目の関税を撤廃し、関係改善のムードが生まれた。ただし、アルバニージー氏の態度変化も経済分野だけに限られているという分析が支配的だ。
安全保障面では、オーストラリアは20年に「Quad(クアッド、米国・日本・オーストラリア・インド4ヵ国協力枠組み)」、21年に「AUKUS(オーカス、米国・英国・オーストラリアの安全保障枠組み)」に加入し、米国の対中牽制に参加した。オーストラリアは、米国・英国・オーストラリア・カナダ・ニュージーランド5ヵ国の機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」にも属している。
また、米国は今年3月、30年代初頭までに原子力潜水艦3~5隻をオーストラリアに販売することを決めた。南太平洋で米国と対立している中国としては不愉快な状況だ。
金祺容 kky@donga.com