
「イスラム組織ハマスによる攻撃は何もないところから突然起きたわけではない。パレスチナの人々は息のつまる占領下に置かれてきた」
ポルトガル出身のグテーレス国連事務総長が24日、米ニューヨークの国連本部で、ハマスのイスラエルへの奇襲攻撃を容認する趣旨の発言をし、物議を醸している。1967年にイスラエルがガザ地区を占領した後、56年間弾圧を繰り返し、これに反発したハマスの攻撃を招いた側面があるという趣旨だ。イスラエルは、ハマスの民間人拉致と殺害を支持する発言だとし、グテーレス氏の辞任を求めた。
グテーレス氏は、今回の事態の解決策を議論するための国連安全保障理事会会議で、「パレスチナの人々は、自分たちの土地を入植によって少しずつ失い、暴力に苦しんできた。経済は抑圧されてきた。人々は家を追われ、破壊されてきた」とし、「ハマスによる攻撃は何もないところから突然起きたわけではない」と強調した。そして、2007年からハマスがガザ地区を統治した後、イスラエルはハマスを認めず、極端な封鎖政策を行ったのは明らかな国際人道法違反だと批判した。
イスラエルがハマスの拠点であるガザ地区北部に地上部隊を投入する計画であることにも反対した。グテーレス氏は、「(北部の)100万人以上の人々に対して、食料も水も医薬品も燃料もない南部に避難するよう命じた」と非難した。
イスラエルは激しく反発し、会議出席したコーヘン外相は、ハマスが拉致したイスラエルの民間人の写真を掲げ、「事務総長はいったいどのような世界に住みたいのか。テロが横行する世界に住みたいのか」と反問した。イスラエルのエルダン国連大使も、ソーシャルメディアX(旧ツイッター)に、「恥を知れ。ユダヤ人虐殺(ホロコースト)後に誕生した組織(国連)のトップがこのような恐ろしい見解を持っているのは悲しいことだ」と反発した。そして、「子ども、女性、老人に対する大量虐殺を容認するような事務総長は国連を率いるのに適していない」と述べ、グテーレス氏の即時辞任を求めた。
イスラエルは地上部隊投入の意向を重ねて強調した。イスラエル軍のハレビ参謀総長は同日、ガザ地区付近を訪れ、「戦術的、戦略的な考慮で地上攻撃が遅れている」としながらも、「(地上戦の)準備はできている。政界と協議し、次の段階の形態と時期を決定する」と明らかにした。
イスラエル軍は同日、ガザ地区から海を通じてイスラエル本土に侵入しようとした武装勢力を射殺したと明らかにした。現地メディアは、4~9人の武装隊員がガザ地区近くのジキムの海岸からイスラエルへの潜入を試みたが失敗したと伝えた。
イ・チョンア記者 clearlee@donga.com