Go to contents

コルセットに閉じ込められた皇后

Posted July. 13, 2023 08:08,   

Updated July. 13, 2023 08:08

한국어

エレガントな白いドレスを着た女性が、上半身をひねって画面の外の観客の方を向いて立っている。丁寧に編み上げた長い髪とサテンのドレスは豪華な銀箔の星で飾られている。フランツ・クザーバー・ヴィンターハルターが描いたこの有名な肖像画の主人公は、「オーストリアの皇后エリザベート」(1865年・写真)。「シシィ」の愛称で有名なエリザベートは、ヨーロッパ王室の歴史で最も美しい王妃とされている。

ヴィンターハルターは、ドイツの田舎の農家の息子として生まれたが、優れた才能のおかげで奨学金を得てミュンヘン芸術アカデミーで学んだ。フランス王室の宮廷画家となった後、ヨーロッパ各地の王族や貴族の肖像画の注文を受け、国際的な名声を得た。この絵は、ヴィンターハルターのキャリアが最高潮に達した60歳の時に描いたもので、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世から依頼されたものだ。28歳の美しい皇后は、その時代のファッションの真髄を示す華やかな衣装を着て画家の前に立っている。髪と服を飾った星は、オーストリアの国花であるエーデルワイスを象徴している。ドイツで自由奔放に育ったシシィは、わずか16歳でオーストリアに嫁ぎ、皇后となった。姉の見合いの場に同行し、皇帝が幼い妹の美貌に魅せられ、プロポーズしたことで実現した結婚だった。シシィは、厳しい宮廷生活に耐えられず、相次ぐ出産と第一子の死、義母との葛藤などで幸せではなかった。その美貌で皇后になったため、生涯外見に執着し、何時間もかかる長い髪の手入れとコルセットの締め付けが一日の最も重要な日課になるほどだった。

生涯19~20インチの細いウエストを維持するためにコルセットを締め続けた皇后。息子の自殺後、黒いドレスだけを着ていた皇后は、60歳でスイスで突然の死を迎えた。コルセットのせいで暗殺者の剣の痛みも感じることなく、虚しく死んでいった。美しくも不幸だったシシィは、画家の筆によって世界で最も美しい皇后のイメージとして歴史に残った。同時に、コルセットに永遠に閉じ込められた女性として絵に永遠に刻まれた。