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一匹のヒトデのために

Posted May. 24, 2023 08:38,   

Updated May. 24, 2023 08:38

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数万匹のヒトデが嵐に流されて浜辺に上がっている。ヒトデは水なしでは生きられないので、今にも砂浜で死んでしまいそうだ。だが、浜辺を散歩していた少女が一匹のヒトデを拾って海に投げ入れる。ある老人がその姿を見て言った。「この浜辺には数十万とは言わないまでも数万匹のヒトデが散らばっているんだ。お前が何匹救ったところで大した違いはないだろう」。少女はもう一匹拾って海に投げながら言う。「これには大きな違いがあるわよ」。

17年間僧侶だったが、還俗して真理の伝道に尽力したスウェーデン人のビョルン・ナッティコ・リンデブラッドの話だ。数万匹のうち数匹を救うことに何の違いがあるのかと問う老人は、圧倒的な現実の前で簡単に諦めてしまう私たちに似ている。老人の言葉は現実的だ。個人の力では大勢を変えることができない現実は確かに存在し、そのような状況で諦めてしまうのは当然かもしれない。しかし、少女の言葉も現実的であることは変わらない。老人のように世界を見れば、少女の行動は微々たるものに見えるかもしれないが、命を助けられた数少ないヒトデにとっては、それこそ大きなことだ。微々たるものだが、そのような振る舞い一つ一つが集まれば、みんなを救うことができるかもしれない。悲観したり懐疑の念を抱いたり冷笑したりするのではなく、小さなことにも意味を持たせようということだ。哀れな気持ちがあれば、あれこれ考えずにまず行動に移そうというのだ。

そのような心をチョ・ドンファ詩人はこう歌っている。「私一人が花を咲かせれば/草原が変わるかと言わないで/あなたが花を咲かせて私が花を咲かせれば/草原が全部花畑になるのではないのか」。一つ一つの花が集まって花畑になるのだから、私とあなたから、あなたと私から努力しようということだ。私一人が花を咲かせ、あなた一人が努力したからといって、世界が変わるとは言わないということだ。リンデブラッドが語る物語は、ニーチェが「客の中で最も奇妙な客」と言った虚無主義を打ち負かす知恵を感動的に展開している。