日本銀行が長期金利の上限を上げて事実上の利上げを断行する前、岸田文雄首相が日銀の黒田東彦総裁に会った際、「余分なことまで会見で言わないように」と話したと、朝日新聞が26日付で報じた。
これをめぐって、岸田氏が日本銀行に超低金利政策の出口戦略を模索するよう指示を出したも同様とみられている。景気浮揚のための量的緩和を掲げた10年間の「アベノミクス」が幕を下ろすことになったのは、岸田氏の強い意志によるという分析もある。
同紙によると、岸田氏は先月10日、首相官邸で黒田氏と会った際、このように要請した。政府からの独立性が保障されている日銀トップに、首相が経済政策の方向について言及することは極めて異例。
岸田氏の発言は、今年9月に黒田氏が「当面、金利を引き上げることはない。数ヵ月でなく、2~3年の話しと考えてもらっていい」と発言したことに対するブレーキとみられる。来年4月に任期満了で退任する黒田氏が、超低金利政策を維持し続けることを言及したことに対して、岸田氏が「線を越えた」と判断したということだ。
同紙は、「大規模な量的緩和が始まった時、黒田氏は安倍元首相の要請に100点満点で応えたが、今は(黒田氏が)危機管理の対象になった」という元日銀幹部の発言を紹介した。
岸田氏が黒田氏に迫った後、日銀が事実上の利上げ措置に乗り出したため、来年には本格的な出口戦略を断行するという観測が流れている。来年4月の日銀総裁の交代を機に年マイナス0.1%の政策金利(基準金利)を引き上げ、日銀の大規模な国債買い入れ額も縮小するという見方が支配的だ。
東京=イ・サンフン特派員 sanghun@donga.com