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「北朝鮮、ドルを手に入れようと躍起」米紙報道

「北朝鮮、ドルを手に入れようと躍起」米紙報道

Posted December. 12, 2022 09:09,   

Updated December. 12, 2022 09:09

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北朝鮮・平壌の国営商店が住民から米ドルを受け取って北朝鮮ウォンでお釣りを渡す方法で外国製品や奢侈品を販売していると、米紙ニューヨーク・タイムズが9日(現地時間)付で報じた。核・ミサイル開発に投入される莫大な軍事費や新型コロナウイルス感染拡大による国境封鎖、国際社会の対北朝鮮制裁などで窮地に追い込まれた北朝鮮が、外貨を手に入れようと躍起になっているということだ。

同紙が公開した写真や映像によると、平壌のある国営商店の陳列台には、シャンプーやカミソリなど外国製商品が並べられていた。米国の生活用品メーカー、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のカミソリ「ジレット」から英企業ユニリーバの「ダブ」、ドイツの化粧品メーカー・バイヤスドルの代表ブランド「ニベア」、日本製品まで多様だった。輸入ラーメン、おむつなども売られていた。これらの製品はすべてドルで決済が可能で、お釣りは北朝鮮ウォンで受け取ると、同紙は伝えた。

平壌の大聖(テソン)百貨店には、スイスブランドのロレックス、ティソの腕時計やディオール、ランコムなどの高級化粧品、高価なソニー、キャノンのデジタルカメラが陳列されていた。同紙は、このような奢侈品の輸入は国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁違反だと指摘した。安保理の対北朝鮮制裁決議2270号は、高級時計など奢侈品を北朝鮮に輸出することを禁止している。

同紙は、北朝鮮内の携帯電話の販売も活発だと伝えた。北朝鮮の国営放送には、中国から輸入した部品を組み立てて作った携帯電話の広告が放送されていた。携帯電話でナビゲーションをはじめ蚊よけアプリ、スーパーマリオやアングリーバードなどの海外人気モバイルゲームも使用できるという。現在、北朝鮮住民5人に1人が携帯電話を持っていると推定される。

北朝鮮は一般住民の私的な外貨所有及び取引を違法とみなしている。にもかかわらず北朝鮮政権が国営商店でドル決済を許可することについて同紙は、「経済的に苦しい金正恩(キム・ジョンウン)総書記にとって外貨獲得が切実だという信号」とし、「国民の生活のためだけでなく、自身の軍事的、経済的野心を実現させるために外貨を奪い合っている」と指摘した。北朝鮮政権は、国営商店以外の民間市場でのドルの使用は厳しく取り締まり、住民がドルを銀行に預けるようにして外貨流出を阻止している。

2017~21年の北朝鮮の貿易赤字は83億ドル(約11兆ウォン)にのぼるなど、深刻な経済困難に直面している。


シン・アヒョン記者 abro@donga.com