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「神の能力」を手に入れた男、ヒーローか悪党か 映画「ブラックアダム」

「神の能力」を手に入れた男、ヒーローか悪党か 映画「ブラックアダム」

Posted October. 20, 2022 08:46,   

Updated October. 20, 2022 08:46

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宇宙技術を彷彿させるコンピューターグラフィック(CG)と華やかなアクションで固めたハリウッドの大作映画が、19日に公開された。映画「ブラックアダム」だ。大作がない今秋の映画シーンで孤軍奮闘しているだけに、劇場街を総なめするだろうという見通しが出ている。

映画の背景は、紀元前2600年の古代国家カーンダック。王の暴政に苦しんでいる奴隷テス・アダム(ドウェイン・ジョンソン)にある日、スピードや体力など6つの神の能力が与えられる。カーンダックの民を救う英雄になったのだ。しかし、アダムはこのような能力を復讐に乱用し、魔法使いたちは彼を永遠の岩の下に閉じ込めておく。

物語は、彼が5000年後に目覚めてから本格化する。彼はカーンダックを占領した傭兵組織インターギャングを掃き飛ばす。アダムが、傭兵を片手で持ち上げると、傭兵は燃え上がって灰になる。銃弾からミサイルまで、アダムの体に当たるどころか跳ね返っていく。最先端の攻撃ヘリも、彼の前では紙切れも同然だ。すべての攻撃を無力化し、全身が武器のヒーロー界のラスボスだ。

彼の暴走を防ぐために現れるのは、世界の安定のために活躍するヒーローチーム「ジャスティス・ソサエティ」。大魔法使い「ドクター・フェイト」(ピアース・ブロスナン)など4人だ。インターギャング対アダム、ジャスティス・ソサエティ対アダムの正面対決は、最大の見どころだ。息継ぎをする暇もなく、上映時間の大半を華麗なアクションシーンで埋めた。アダムとの殴り合いや、すべてを薙ぎ倒してしまうような無敵のパフォーマンスが、視覚的快感をピークに引き上げる。

中東国家カーンダックを白人の軍事組織が掌握するのは政治的解釈が可能だが、そっと触れるだけに止まった。バットマンやスーパーマンなど、比較的厳粛な雰囲気で哲学的メッセージを扱う従来のDC映画とは異なり、今回の映画はDC映画にしては単純だ。主人公たちの米国流ギャグ、ヒーローたちの対決方法もマーべル映画を連想させる。マーべル映画らしいDC映画を見るのも、見所になりそうだ。

何よりも、扮装をしなくても、すでにスーパーヒーローのようなドウェイン・ジョンソンがヒーローに扮したということだけでも、映画を見る理由は十分だ。「ブラックアダム」は、映画の最後にアダムが自ら付ける名前が暗示されるだけで、映画では言及されない。


孫孝珠 hjson@donga.com