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性的暴行罪の実刑判決を破棄、米コメディアンのビル・コスビー氏が釈放

性的暴行罪の実刑判決を破棄、米コメディアンのビル・コスビー氏が釈放

Posted July. 02, 2021 09:01,   

Updated July. 02, 2021 09:01

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女性への性的暴行罪で3年間服役していた米国の有名コメディアン、 ビル・コスビー受刑者(83・写真)が、裁判所の有罪判決を破棄する決定によって釈放された。コスビー氏が、一部容疑を認めたにもかかわらず、「裁判手続き上の違反」で有罪判決が破棄されたことで、論議が起きている。

ペンシルバニア州最高裁は先月30日、コスビー氏の性的暴行罪の有罪判決を破棄した。コスビー氏は、フィラデルフィア郊外にある自宅の前で放送局のカメラにⅤサインをし、釈放を祝った。コスビー氏は2004年、母校のテンプル大学の職員だったアンドレア・コンスタンドさんに薬を飲ませて気を失わせ、性的暴行を加えたとして、2018年9月に禁錮3~10年の実刑判決を受けた。コスビー氏は「合意による性行為だった」として控訴したが、実刑判決を受けてペンシルバニア州刑務所に収監された。

 

事件に対する最高裁の判断が変わったのは、「検察がコスビー氏との約束を破り、彼の司法的権利を侵害した」という結論を下したことによる。

米メディアによると、ブルース・キャスター元州検察官は2005年にこの事件を捜査し、コスビー氏を刑事訴追するには証拠が不十分だと判断した。このためキャスター氏は、コスビー氏にコンスタンドさんが起こした民事訴訟で証言すれば、刑事訴追しないと約束した。検察官の約束を信じたコスビー氏は、民事裁判で自身が女性との性的関係の際、しばしば薬を飲ませたことを認めた。

しかし、キャスター氏の後任のケヴィン・スティール検察官は、12年の控訴時効が終わる直前の2015年12月、コスビー氏の民事裁判の証言などを根拠に彼を逮捕し、性的暴行容疑で起訴した。

ペンシルバニア州最高裁のデイビット・ウェクト判事は、「コスビー氏は民事裁判で証言すれば訴追しないという検察官の言葉を信じた」とし、「法違反が明らかになった以上、有罪判決を破棄し、検察の追加訴追を禁じることが解決策となる」と明らかにした。

 

米国の「#MeToo(私も)」運動で実刑判決を受けた有名人のコスビー氏が釈放され、米女性界は憤っている。コンスタンドさん側は声明で、「今日の決定は残念なだけでなく、司法制度内で性的暴行に対する正義を追求しようとする人々の意欲を失わせるという点で懸念される」と明らかにした。1960年代にコスビー氏に性的暴行を受けたと告発したヴィクトリア・ヴァレンティノさんは、「怒りを隠せない。失望した。女性たちに希望を与えようとしたことが、法的な問題のために覆されてしまった」と語った。


兪載東 jarrett@donga.com