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母性愛を描いた画家

Posted January. 14, 2021 09:10,   

Updated January. 14, 2021 09:10

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ストライプのドレスを着た母親が、子供をひざの上に座らせて体を洗っている。片手で子供の腰を抱え、もう一方の手で子供の足を洗う。白くてきれいなタオルを纏った子供は、母親と一緒にたらいの水に視線を止めている。メアリー・カサットは生涯独身だったが、母親と子ども、特に母性愛を扱った絵を多く描いた。彼女はなぜあれほど、母性愛に拘ったのだろうか。

カサットは、フランスの印象主義展示会に参加した唯一の米国人女性だった。裕福な家庭に生まれたおかげでパリ留学までしたが、女性という理由で国立美術学校のエコール・デ・ボザールに入学できなかった。個人画室に通ったり、ルーブルで大物たちの作品を模写しながら自ら実力を積んでいった。男性中心の美術界で、それも異邦人女性画家として生き残るためには、彼女ならではの戦略が必要だった。カサットは、男性画家たちには表現できない女性ならではの特別な感情や経験を絵にしたがった。それで選択したテーマが、女性と子ども、そして母性愛だった。画家として成功するために結婚も出産も拒否したが、周辺にはモデルになってくれる女性の知人と子どもたちがいつも多かった。オペラ鑑賞やボート遊びなど女性の野外活動も描いたが、家庭で子どもを洗ったり、乳を飲ませたり、本を読んだり、お茶を飲むなど、結婚した女性の平凡な日常を詳細に捉えた。特に入浴シーンを何度も描いたが、絵のテーマと上から見下ろしたような構図は、日本の木版画と同僚画家エドガー・ドガの絵から影響を受けている。

この絵は、当時の世相を反映したものでもある。1880年代半ば,フランスではコレラが何度か流行し、幼児の死亡率が急上昇した。疾病予防策として、入浴と清潔な環境が強調された。また、乳幼児期に母親の役割の重要性が浮上し、保母に任せるよりは、子どもを母親が直接世話することが勧奨された。絵の中の家庭にも実際は保母がいただろうが、画家は子どもを洗う母親の姿を通じて親密で暖かい母性愛を強調している。