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安全を無視したグローバル革新企業・テスラ

安全を無視したグローバル革新企業・テスラ

Posted December. 17, 2020 09:47,   

Updated December. 17, 2020 09:47

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「別に、申し上げる言葉はありません」

テスラの電気自動車セダン「モデル3」(写真)が、火災などで電力が切れた場合、後部座席からは搭乗者がドアを開けて出ることができないように設計されているというのはファクトかという質問に対して、戻ってきた同社の公式回答だった。「内部の電力が断たれれば、機械的にドアを開ける装置はフロントドアだけにある」と書かれたユーザーの案内書が信じられず、テスラコリア側に数回電話をかけた末に聞いた一言だった。

9日、ソウル龍山区(ヨンサング)にあるマンションの地下駐車場で、1億ウォンを超える同社のスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)「モデルX」が火災後、外部からドアを開けられなかったことについて尋ねたときも、同社の反応は同じだった。車の製造業者が原因調査も終わっていない事故について答える義務はない。しかし、搭乗者の救助過程で消防当局が発見した問題についても、テスラは責任ある答弁を避けた。

遠い未来のことと思われていた電気自動車を商用車として作り出し、「革新企業」として脚光を浴びているテスラだ。記者も今年、テスラの試乗車に乗って「従来の自動車メーカーは学ぶことが多い」と思った。しかし、安全という決して妥協できない問題に対処するテスラの態度は、革新企業でも一流企業でもなかった。

自動車は人を乗せて早い速度で移動するため、常に危険にさらされている。顧客は企業を信頼して、巨額をかけて製品を購入する。危機時に搭乗者が対処しにくくなっていることも呆れることだし、対応しないことも理解できない。

報道に接した韓国内モデル3の顧客らは、オンライン上のコミュニティで激しい反応を見せている。「有事の際、後部ドアを開けることができないという事実さえ知らなかった」「後部座席には子どもが乗っているが、考えただけでもぞっとする」という書き込みが殺到している。とある顧客は、「ガラスを割るハンマーを後部座席に常備しよう」と書き込んでいた。

インターネットで調べてみると、「モデル3」の後部座席の問題はすでに米国で2018年から浮上していた。とある海外ユーチューバーは昨年、モデル3の後部座席に自ら「非常脱出輪」を作る動画を掲載した。後部ドアの内装材を完全に取り外して、ドアを開けることのできる鉄製ケーブルを見つけ、ドリルで内装材の一部に穴を開けて輪を繋ぐやり方だ。このユーチューバーはこの動画に、「私はあなたの命を救うことができる(I Can Save Your Life)」というタイトルを付けた。

このようにすでに問題が提起され「解決策」まで出た状況を、テスラは知らなかったのか。不安なモデル3の顧客は、カーセンターで後部ドアに穴を開けてでも、脱出の輪を作らなければならない。

モデル3は今年に入ってから11月まで、韓国で1万台以上が売れた。モデルS、モデルXの販売まで考慮すれば、テスラの国内売上は6700億ウォンを優に超える。テスラが、消費者の安全問題に対して責任ある答弁と対策を急いで出さなければならない理由だ。


金道炯 dodo@donga.com