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行きたい、ホアキン・ソローリャの海に

Posted August. 11, 2020 08:48,   

Updated August. 11, 2020 08:48

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海への旅行やビーチでの水遊びの話を切り出すのは、いろいろ気が遣われるときだ。先週出版された「海、浜から: ホアキン・ソローリャが描いた海の生活や風景」(HBプレス)は、曇りや雨でも色褪せない青い海の穏やかな記憶を連想させる画集だ。

スペインの画家・ホアキン・ソローリャ(1863〜1923)は、東部の海岸都市・バレンシアで生まれ、いつも浜辺に出て、その場所の景色と人物をキャンバスに盛り込んだ人物だ。彼は画材とキャンバスを持ってビーチに出て、目の前に広がるイメージを速やかに記録するように描いた。

ソローリャが残した作品の表面の顔料には、海辺の風に吹かれてきた砂粒がたまに混ざって固まっている。布団の洗濯を干すように、大きなキャンバスをロープで固定したまま、帽子をかぶって白い砂浜に立って忙しく筆を動かす彼の姿を写真で確認できる。

彼は20世紀の初め、首都マドリードで大きな人気と名声を得たが、1912年から7年間、米国から依頼された大型作品を完成させる作業に邁進する中で、健康を失った。脳卒中に苦しんで死亡した後は忘れ去られたが、2009年にスペイン・プラド美術館での回顧展の成功をきっかけに、ドイツ・ミュンヘン、英ロンドンで相次いで企画展が開かれ、最近、再び注目されている。

この本には、砂浜を散歩する妻と長女を描いた「浜の散歩」(1909年)、水に濡れて輝く素肌を露出したまま、水遊びに夢中になっている子供たちを描いた「ビーチの少年たち」(1909年)、荒い波が立つ海の景色を盛り込んだ「サン・セバスチャンの防波堤」(1918年)など、60余点の作品をまとめた。

あらゆる社会的対立に水害まで重なった状況で、平和な外国のビーチの輝く太陽の光を盛り込んだ絵を眺めることは時宜を得た行為ではないだろうか。ソローリャが盛んに作業した時期は、スペインがフィリピンなどに於いて、米国と戦った戦争で惨敗して国全体が憂鬱な低迷期に陥った時だった。暇さえあればマドリードを離れて、故郷の浜に戻ってきた画家は、人生のエネルギーを回復する希望のイメージを、そこから求めようとしたのかもしれない。


孫宅均 sohn@donga.com