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「助けてください」体裁を捨てた32枚の紙

「助けてください」体裁を捨てた32枚の紙

Posted April. 30, 2020 07:56,   

Updated April. 30, 2020 07:56

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29日午後12時頃、東京都中野区の駅前。商店街の3階にあるフランス料理専門店の窓に「助けてください」と書かれた白い紙が貼られている。遠くからもよく見えるようにA4用紙4枚をつなげた大きな紙に一文字ずつ書かれていた。

ランチタイムなのに店には客が一人もいなかった。マスクをした従業員がテーブルの消毒や皿洗いをしていた。店の大村俊亮代表は、「新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出た後、売り上げが昨年同期に比べて9割減った」と吐露した。じっとしているのではなく、近くの会社員をターゲットにした税込み500円の弁当も始めた。しかし、賃借料や人件費など毎月発生する固定費3200万ウォンの支払いは厳しい状況だ。「この先」がますます暗くなっている。

店のある従業員が先週「今の厳しい状況を正直に表現してみるのはどうか」とアイディアを出した。窓に「助けてください」と貼り出そうということだ。優雅さを追求する店のムードに合わないが、大村氏はすぐにA4用紙を買ってきてメッセージを書いて窓に貼った。大村氏は、「今体裁を気にしている時ではない。生計が危うい状況だと近くでバスを待つ人にでも知ってもらいたかった」と話した。

 

安倍晋三首相は今月初め、売り上げが急減する中小事業者に最大200万円(2200万ウォン)を支援すると明らかにしたが、申請は来月1日から始まる。実際に恩恵を受けるまで時間がかかり、「遅い」と不満が出ている。

1月16日に日本で新型コロナウイルスの最初の感染者が出て3ヵ月が過ぎたが、政府は右往左往している。各界から批判が溢れているが、安倍氏は28日、国会で「最善を尽くしている」、「少し待ってほしい」と繰り返した。そうしている間に店はレストランを廃業するかどうか考えなければならない状況になった。大村氏は、「店を維持するほど損害だけが大きくなる」とし、「何でもいいから早く決めてほしい」と不満を吐露した。

日本政府の新型コロナウイルス専門家会議に参加する専門家が記者に、「(現在の安倍内閣は)共感能力が不足しているようだ」と指摘した。若者に外出自粛を要請しながら、安倍氏が自宅で悠々自適に過ごす映像をインターネットに流したこと、テレワークの拡大を呼びかけるIT・科学技術担当相にアナログ文化を代弁する「はんこ」議員連盟の会長を起用したことは全て滑稽と言わざるを得ない。感染者が急増しているにもかかわらず、「ひとまず」マスク2枚を支給すれば大丈夫と考える首相官邸の官僚も然りだ。


東京=キム・ボムソク特派員 bsism@donga.com