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「TPP離脱」「トランプ発貿易戦争」…恐れるだけで始まらない

「TPP離脱」「トランプ発貿易戦争」…恐れるだけで始まらない

Posted January. 25, 2017 08:56,   

Updated January. 25, 2017 08:57

ドナルド・トランプ米大統領は、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を明らかにしたその翌日だった23日、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱する行政命令に急きょ署名した。米労働者にはいいことだという理由からだ。米国が主導してきた自由貿易中心の世界秩序が、「米優先主義」に基づいた保護貿易や二国間貿易協定時代へと進むことだけははっきりしており、米国の伝統的経済・政治同盟も、再交渉のテーブルに上る可能性が高まっている。

ただちに、メキシコは、ペソ安が20%も進み、証券市場の時価総額が6%も消えた。 NAFTAだけを信じて、メキシコに工場を建設した韓国の大手輸出企業各社も赤信号がともっている。日本やシンガポールなど、12カ国が参加したTPPに、韓国は加盟していなくて、直接的影響はないが、トランプの行動はあまりにも激しく、韓米FTAまでも再交渉に乗り出す可能性が高い。アジア太平洋地域では、中国を牽制するTPPに続いて、韓米経済同盟の役割を果たしてきた韓米FTAが揺れて、地政学的変動が生じる可能性もあるだけに、多角的な備えが急務となっている。

トランプ発世界貿易戦争の序幕にもかかわらず、いざ米国に期待ほどの実益があるかどうかは、依然見極めなければならない。第4次産業革命や技術パラダイムの変化によって減少する米国内製造業を支援するため、そもそも時代錯誤的保護主義を切り出したことも、米国の国益に合致しない。短期的には景気刺激をもたらすかもしれないが、長期的には、米国はもとより、グローバル交易や経済不況につながる可能性も少なくない。米国の覇権を窺う中国が、会心の笑みを浮かべるのも、そのためだろう。

韓国は2009年、オバマ政府が自国産業や雇用保護を主張して、自動車や医薬品などで韓米FTAの追加交渉を行った前歴がある。さまざまなシナリオ別対応戦略をまとめて、韓米FTAが米国の雇用創出にも利益になることを、論理的に理解させる必要がある。米国が伝統的製造業の復興に集中するとき、韓国産業構造の高度化促進のチャンスにすれば、かえって跳躍の足掛かりになるだろう。TPPを主導してきた日本が打撃を受けると、米市場での商品が重なる韓国は相対的に恩恵を受けることもできる。不確実性の中で、新たな輸出の道を灯せる手段は、企業の競争力向上しかない。世界市場の変化を読み取り、果敢に動く企業家精神が、いつになく必要な時だ。