盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は、当選者時代だった2003年初め、世界貿易機関(WTO)の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)首席弁護士を呼んで、国際通商懸案についてブリーフィングを受けた。金氏は、「韓国は、開放型通商国と企業に友好的な国を目指すべきだ」と進言した。特に、米国などの主要諸国との自由貿易協定(FTA)の必要性を力説した。盧大統領は、金氏を1級の通商交渉調停官に抜擢。2004年には通商交渉本部長に任命し、韓米FTA交渉を任せた。FTAを巡る盧武鉉と金鉉宗との関係は、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領と全氏の「経済家庭教師」と言われているキム・ジェイク氏を連想させる。
◆盧大統領と金鉉宗本部長、金宗壎(キム・ジョンフン)交渉首席代表は、2007年4月に妥結された韓米FTA交渉の3人の主人公だ。米国との交渉過程で、グラディエーター(剣闘士)と呼ばれた金宗壎の公も大きかった。しかし、門外漢だった盧氏を金氏が根気よく説得できなかったなら、韓米FTAは実現できなかった。盧氏は、金氏と初めて会った時、世界を見る知見が優れている上、戦略的思考がひらめく金鉉宗を印象深く覚えていて、破格の抜擢をした。韓米FTAは、盧氏が残した業績だ。
◆金炳蓮(キム・ビョンヨン)元ノルウェー大使の長男である金鉉宗は、米コロンビア大学で通商法で博士号を取った。父親は14歳の時に一人で留学に行き、「気が強い」と言われながら一生懸命に勉強した長男への期待や愛情が並外れていた。高校と大学を共に米国で終えた金鉉宗が、韓国で軟着陸できるように複数の面で気を使った。韓米FTA交渉当時、取材主務部長だった私にも、息子を紹介、交渉の流れをつかむのを助けてくれたほどだった。
◆通商交渉本部長を経て、駐国連大使や三星(サムスン)電子海外法務社長を務めた金鉉宗が18日、最大野党共に民主党に入党した。一部では共に民主党が、「FTA伝道師」を選んだことを以外と受け止めている見方がある。しかし金鉉宗は、盧武鉉が「あなたとは馬が合う」と声をかけたほど深く信頼した「盧武鉉系」だ。彼の選択が共に民主党の弊害と言われている閉鎖的運動圏体質を変えるのに貢献すれば、野党と大韓民国には前向きな影響を及ぼすかもしれない。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com






