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ピアニストのキム・ソンウク、初のソロアルバムを発表

ピアニストのキム・ソンウク、初のソロアルバムを発表

Posted November. 25, 2015 07:43,   

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ピアニストのキム・ソンウク(27)は先日、ドイツのアクサンタス(Accentus)レーベルを通じて、ベートーヴェンのピアノソナタ2曲、Op.53「ワルトシュタイン」とOp.106「ハンマークラヴィーア」を収録した初のソロアルバムを発表した。今年6月、ベルリンで録音場所として知られるイエスキリスト教会でレコーディングしたという。この教会は、指揮者カラヤンとベルリン・フィルが好んで利用した場所だ。

キム・ソンウクはソウルのLGアートセンターで2012年と2013年の2年間、ベートーヴェンのピアノソナタ全曲サイクルを行った。「今回レコーディングした2曲は、これまで舞台で最も多く演奏した傑作であり、他のいかなるアルバムの影響も受けることなく、自分の思いとカラーを丸ごと込められる曲だ」と話す。

キム・ソンウクの「ワルトシュタイン」は、従来の巨匠たちの演奏と直接比べられるほど、優れている。最初のテーマの連打音やトリルから、ベートーヴェンが狙った新しいサウンドの世界を認識しているようだった。装飾的な効果を排除し、部分ごとに全く違う意味と効果を作り出したからた。

「私が重みを置いたのは、この作品ならではの生命力です。同時代の視線で見たベートーヴェンのソナタには、現代音楽に劣らない新鮮さがあります。この作品の構造的な展開は、驚きの連続です。音標のシンプルで多彩な音型と対位法的展開、発展部の緊張感はあまりにも卓越しています」

ペダリングを通じて、ベートーヴェン時代の簡潔で繊細な音響を本格的かつ魔法的に表現したのも、キム・ソンウク独特の長所と言える。キム・ソンウクはパリで見つけたスタインウェイ・ピアノをレコーディング現場に運び、アムステルダム・コンセルトヘボウ専属の調律師を同行させるほど、楽器の音に力を入れた。

ピアノソナタの初代の作品である「ハンマークラヴィーア」では、大河ドラマ以上のスケールと構造の安定性、極限のディテールを表現した。

心臓がドキドキするような1楽章と抽象的で衝撃的な2楽章、小宇宙の美しさを表した3楽章を通じて、人間の全ての感情を凝縮したいと思いました。そして非現実的な静寂を経た後、破片的な欠片と3つのテーマが対位法的な方式で展開される4楽章のフーガでは、シンプルな構造から生まれる超越的な力と論理的な完結性を見つけたいと思いました」

キム・ソンウクは目に見えない音標と音響に自身だけの関係を設定し、独創的な意味を与え、新たなベートーヴェンのピアノソナタの世界を作りだした。彼に「無形の構造を作り上げる、鍵盤の上の建築家」というニックネームをつけるべき時に来ているのではないか。キム・ソンウクの初のソロアルバムは、私たちが発見しなければならない未知の音響や膨大な意味の鉱脈が、ベートーヴェンのピアノソナタにはまだまだ多く隠されていることを思い知らせている。

パク・ジェソン音楽コラムニスト