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[オピニオン]洪成潭の芸術を口実にしたさらなるテロ

[オピニオン]洪成潭の芸術を口実にしたさらなるテロ

Posted September. 09, 2015 07:13,   

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芸術作品に必ずしも美が必要というわけではない。マルセル・デュシャンは、男性用の小便器を「泉」というタイトルで発表した。ダミアン・ハーストは、ホルムアルデヒドにサメの死体を入れて展示した。これらの作品は挑発的で、芸術の通念を覆した。芸術作品が政治的メッセージを持つことも問題は全くない。ウジェーヌ・ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」は、国王を追放したフランスの7月革命の精神を表現した傑作だ。

◆作品は芸術家の固有の精神世界の発現という点で当然尊重されるべきだが、洪成潭(ホン・ソンダン)の絵「金基宗(キム・ギジョン)の刃」は、いくら良く見ようとしても芸術と見ることはできない。マーク・リッパート大使のネクタイを握りしめて刃物を向ける金基宗とひざまずく大使が絵の両側に配置されている。芸術作品特有のいかなる象徴も隠喩もない。画家は、絵だけでは足りず、中央のテーブルに文字を書いた。冗長な文の内容は、ひとことで言って、金基宗のテロは正当だということだ。

◆洪成潭は昨年の光州(クァンジュ)ビエンナーレで、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領と金淇春(キム・ギチュン)前秘書室長の操り人形である赤い雌鳥で描写した絵「セウォル・オウォル」を出品した民衆美術家だ。国家元首に対する風刺の限界がどこまでかは論議があり得るが、そのような作品を公共基金で運営される空間に展示することを表現の自由で庇護することはできない。「金基宗の刃」は、ソウル市立美術館別館の南ソウル生活美術館の芸術家ギルド・アートフェアに展示されている。税金で運営される市立美術館にテロを美化する絵が展示されていることは、芸術を口実にしたさらなるテロだ。

◆美術館には「すぐに絵を外せ」という市民の抗議が溢れている。金弘姫(キム・ホンヒ)美術館長は絵に問題があることは分かっていたが、展示監督の芸術家選定の権限を侵害できなかったと話した。ソウル市民の健全な常識よりも展示監督の権限を重視したというから呆れる。美術館が問題の絵を外すことにしたとしても、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は関係者に今回の事件の責任を問わなければならない。参考に、昨年、尹壮鉉(ユン・ジャンヒョン)光州市長は「セウォル・オウォル」の展示を許可しなかった。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com



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