中国の習近平国家主席が先週末、就任後初めて北朝鮮との国境地域である吉林省の延辺朝鮮族自治州や長春市などを視察した。朝鮮族の家庭を訪れた際は、韓国の風習どおりに靴を脱いで家に入り、あぐらをかいて座った。一部ではまだ汲み取り式トイレと聞いて、「小康(すべての国民が安らかで豊かな生活を享受する状態)社会にどの少数民族も排除されてはならない」と言って改善を指示した。3月の全国人民代表大会の時、朝鮮族自治州代表から訪問を要請されて約束を守ったのだが、それ以上の意味がある。2013年2月、北朝鮮の3度目の核実験で亀裂が生じた伝統的な中朝血盟関係を修復し、北朝鮮・中国・ロシア3国の国境地域である東北開発戦略の推進を示唆する。
中国政府が、北朝鮮に挫折感を覚えるとしても、中国の世界戦略上、依然として中朝関係を無視することはできないだろう。しかし、習主席の今回の行動が、北朝鮮に核を放棄せず耐えれば最後には中国が手を差し伸べてくれるという錯覚を抱かせる可能性があるという点で憂慮される。先月14日にイランの核交渉が最終妥結した後、世界の耳目は核脅威を続ける北朝鮮と北朝鮮の唯一の同盟国である中国に傾いている。
イランは北朝鮮と違ってまだ核実験もしていない段階で欧米の強力な制裁が効力を発揮したので可能だった。一方、国連の北朝鮮制裁は、中国が北朝鮮のつっかえ棒の役割をし、実効を上げられていない。イラン核交渉を主導したウェンディ・シャーマン米国務次官は、「イランが合意をしっかりと履行して制裁が解除されるなら、北朝鮮も危ない経路を再考するだろう」と述べたが、中国の態度が変わらない限り期待できないシナリオだ。
中国が最近、国際社会の北朝鮮への圧力に共同歩調を取っているというものの、その程度では不十分だ。2年前、中国の楊潔チ国務委員は、金章洙(キム・ジャンス)大統領府国家安保室長(当時)との会談で、「中国も東北3省が北朝鮮と接しているため、北朝鮮に非核化を強く要求している」と明らかにした。習主席は、直接金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に核を放棄すれば北朝鮮も中国のように発展できると、積極的に影響力を行使しなければならない。北朝鮮の核をそのままにしては、北東アジアの共同繁栄はむなしい夢に終わる可能性が高い。






