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[オピニオン]ボテロと「ビキニ貧血」

Posted July. 11, 2015 07:11,   

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細い首、やせた腕と脚のバレリーナはしばらく忘れていい。絵の中のバレリーナは、パルテノン神殿の柱のようなどっしりとした脚、脂肪で張り裂けそうなお腹を堂々と出している。右腕と脚をさっと上げた柔軟なポーズは非常に安定的だ。豊満で魅力的なバレリーナを目にした瞬間、思わず笑みがこぼれる。

◆10日、ソウルのハンガラム美術館で開かれたフェルナンド・ボテロ展の「バレリーナ」という作品だ。「ブラックスワン」で2011年にオスカー主演女優賞を受賞したナタリー・ポートマンは、バレリーナを演じるために9キロ減量した。スマートな女優でも苛酷なダイエットをしなければならないほど、バレリーナは美しさのための減量苦に耐えなければならない。ところがコロンビア生まれの世界的な巨匠ボテロは、このような固定観念を愉快に覆し、情感あふれるバレリーナを描いた。

◆ボテロの絵や彫刻はサインがなくても一目で分かる。豊満な形と鮮やかな色が共通分母だ。人体だけでなく動物や楽器といった物まで、空気を注入したようにまるまると膨らんでいる。信じようが信じまいがボテロは「私は太った女性を描くことに関心がない」と話す。単に量感の美しさ、形態の官能美を表現することに関心を注ぐだけだという。

◆毎年7、8月になると10、20代の女性貧血患者が急増するという健康保険審査評価院の調査結果が出た。ビキニを着こなすための無理なダイエットによる「ビキニ貧血」だ。若い女性でなくてもこの時期はダイエットする人口が増える。ボテロは体への新たな解釈と感性を表現する作品を通じて、人を楽しませ幸せにさせる。09年にソウルで開かれた初の個人展が話題となり、20万の観客を記録したのもそのためだ。美術に関する知識に関係なく、誰でも簡単に理解し近づきやすいボテロ作品展。絵の中の主人公は皆黙っているが、彼らを眺めていると何となく楽しくなる。MERS(中東呼吸器症候群)で疲れた私たちに必要な活力を充電する機会だ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com



mskoh119@donga.com