17日午後、米国の首都ワシントンの中心街にある韓米経済研究所(KEI)のセミナー会場。灯り消えると、7才のコッチェビ、シンヒョクの脱北の歴程がスクリーンに繰り広げられた。北朝鮮と中国の国境を越えて自由の地を踏んだシンヒョクは、生まれて初めて乗った車の中で食べたものを吐き出した。まるで北朝鮮で体験した凄まじい悪夢を吐き出そうとするかのように。
今年4月、米国のヒューストン国際映画祭の大賞受賞作であるチャネルAのドキュメンタリー「特別取材・脱北」のワシントン上映は盛況だった。午前に開かれた「北朝鮮人権法:10年後」セミナーの韓米両国の参加者60人余りは、簡単なサンドイッチで昼食をとり、スクリーンから目を離すことができなかった。
作品を見た米国人たちは、「感動的」と評価した。KEIのマーク・トコラ副所長は、「脱北者が実際にどんなことを経験したのか知ることができた。多くの人々にこのドキュメンタリーを見てもらいたい」と話した。北朝鮮人権委員会(HRNK)理事会のロバータ・コーエン共同議長も、「北朝鮮の人々が悪条件の中で脱北する姿が非常に感動的だった」と感想を述べた。
HRNKとKEIが共同主催した同日のセミナーは、2004年の米国議会の北朝鮮人権法制定から10年間の北朝鮮人権状況を点検し、改善策を討論した。
発表者のチョ・ジンヘ在米脱北民連帯代表は、「米国が積極的に取り組んで、北朝鮮の孤児を救出し、脱北者を受け入れ、中国経済を圧迫し、脱北者の強制送還を阻止する措置を取ってほしい」と述べた。そして、「米国が決意するなら、北朝鮮を倒すのは一瞬のことだろう。北朝鮮で300万人が飢えて死んで行った事実は伝えられたが、いつまでモニタリングだけするのか」と焦る心境を吐露した。チョ氏は、1990年代半ばの「苦難の行軍」時代、食べる物を求めて北朝鮮と中国の国境を往来して4度強制送還されたが、迂余曲折の末、2006年に脱北に成功し、米国に定着した。
ロバート・キング北朝鮮人権問題担当特使は基調発言で、「北朝鮮の人権問題を提起し続け、戦っていかなければならない」とし、「最近の北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)外相の国連総会出席は、北朝鮮政府が人権問題を強調する国際社会の動きを不安に思っている証拠であり、この戦いで私たちが勝っていることを示す例だ」と強調した。






