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「黒い未亡人」ソチ潜入、五輪セキュリティ「鉄の環」が破られた

「黒い未亡人」ソチ潜入、五輪セキュリティ「鉄の環」が破られた

Posted January. 22, 2014 03:17,   

ロシアの女性テロ組織「黒い未亡人(black widow)」のメンバーが厳重なセキュリティを破って冬季五輪が開かれるソチに潜入したことで、現地の警察が逮捕に乗り出した。このためソチ五輪の安全に赤信号がともった。米国が自国の選手団の避難計画を講じるほか、カザフスタンも遊覧船を選手団の宿泊用に利用することを決めた。

ロシア警察は、ソチに侵入したと推定されるダゲスタン出身の22才の女性ルザンナ・イブラギモヴァの緊急手配写真を現地ホテルや空港などに配布したと、米ABCニュースが20日付で報じた。イブラギモヴァは今月初めにダゲスタンを離れ、約10日前にソチに到着したとされる。左の頬に10センチの長さの傷があり、足を引きずり、左の腕を曲げることができないと手配写真に記載された。

イブラギモヴァは、ロシア南部のチェチェン出身の女性が主軸となった「黒い未亡人」のメンバーだ。黒い未亡人は、2000年代初め、ロシアからの分離独立を求めた女性テロメンバーがテロ現場に黒い服を着て現れたことでつけられた。彼女たちは、夫や家族をロシア軍に殺されたり、ロシア軍に性的暴行を受け、復讐に燃える組織として知られている。イブラギモヴァの夫も、昨年ダゲスタンで起こった警察との交戦で死亡したという。このテロ組織は、カフカース地域に根拠を置く「カフカース首長国」と連携してテロなどを行っている。カフカース首長国の指導者ドク・ウマロフ(50)は昨年7月、「あらゆる手段を使ってソチ五輪を開催できないようにする」と警告してきた。

「黒い未亡人」メンバーのソチ潜入が衝撃を与える理由は、ロシア政府のセキュリティの壁である「鉄の環」が破られたためだ。ロシアは、ソチの主な五輪施設を囲む横100キロ、縦40キロ地域を特別警戒区域とし、厳重な警戒を敷いてきた。約2万5000人の特殊警察官と約8000人の軍兵力、連邦保安局(FSB)の対テロ員などを動員し、観光客だけでなく住民も監視してきた。さらに約3万人の正規軍もロシアとジョージアの国境地域を守ってきた。この鉄の環が崩されたのだ。

米ジョージタウン大学のクリストファー・スイフト教授は、「テロリストの潜入時期が鉄の環の稼動前なのか後なのか確かでないが、ロシアのセキュリティ能力に疑問を感じざるを得ない」と話した。また、スイフト教授は、潜入したテロリストが女性なので、より簡単にターゲットに接近でき、自爆テロを1人でするのは珍しいと付け加えた。

ソチ五輪の安全に対する憂慮が高まると、米国は選手団の安全確保に向けて独自の対策づくりを始めた。ロシア近くに戦艦2隻と輸送機などを待機させる計画だと、CNNなどが米軍関係者を引用して報じた。軍用機投入の可能性も提起された。

同関係者は、「大きなテロが発生した場合、米国人を救出するためには戦艦と航空機がソチ周辺で待機する必要がある」と述べた。

これに先立ちカザフスタンは、安全を理由に遊覧船をソチ近海に送り、代表団の宿舎に使用することを決めた。カザフスタン新技術産業部観光委員会は、「主な競技場付近の安全な海上に停泊させた遊覧船を宿舎に使う」と明らかにしたと、現地メディアが伝えた。この遊覧船は1190室の客室と食堂、プールも備えた5つ星クラスの豪華遊覧船で、代表団に優先的に客室を割り当て、残りは観光客に貸す計画だ。