李世乭(イ・セドル)9段(31)の囲碁は激しい。「自分の中に枠組みなど存在しない」と、自分の著書「碁盤を覆せ」に記した。自由奔放で想像力が豊かである。その一方で、鋭い。ある瞬間、相手のあごの下に詰め寄り、いきなり突き出す剣客の匕首に似ている。
対戦に負けないほど激しいのが、碁の打ち直しだ。自分が負けた囲碁は、疑問が解けるときまで、打ち直しを繰り返すことで有名だ。本人が打った碁でなくても、決勝戦の最終対局の打ち直しの現場で、たびたび、その姿を目にすることができる。新年早々の2日、ソウル城東区弘益洞(ソンドング・ホンイクドン)の韓国棋院4階の本選対局室で行われた第57回国手戦の挑戦5番棋・第2局で、趙漢乘(チョ・ハンスン)9段(32)に負けた後に行われた、碁の打ち直しがそうだった。第1局に次ぐ連敗だったためか。碁の打ち直しの時間が、1時間半を越えた。普通の早打ちなら、1戦が終わる時間だった。
国手戦は、国内唯一の、制限時間が3時間の長考囲碁であり、午前10時から始めたが、李世乭が敗北を認めたのは、6時間後の午後4時半だった。その後、2人は、計時員すらいなくなったがらんとした本選の対局室で、碁盤に石を打ってから降ろすことを繰り返した。碁盤の上に数十個の参考図ができてから消えた。李世乭は、場面ごとに、「兄貴、このように打てば、どうなる?」、「こう打てば、自分にはよいのではないか」と、納得がいくまで何度も尋ねた。時には自らを責めたりもした。「これこそ、敗着だね。これが間違っている。それなら、どうすべきだったのかな?…」。
1時間後、ランキングトップのパク・ジョンファン9段と、2位のキム・ジソク9段も、部屋に入ってきた。本格的な分析が行われた。プロ技師も、打ち直しの時に、最も多いことを学ぶという。
それから5日後の7日午前10時。李世乭は、瀬戸際に背水の陣を敷き、国手戦挑戦3局に臨んだ。黒を握った李世乭は、前半、実利作戦を展開した。碁盤の右上隅で実利を一杯に獲得した後、中央の白の陣営に飛び込み、打開の勝負を掛けた。この過程で、李世乭は右下隅の大石を取られたが、勝機をつかんでリードし、勝利を引き出した。252手目の黒の6目半勝ち。
ソン・テゴン9段は、「李世乭9段は最近、低迷の様子を見せていたが、今日の対局は、かつての完璧な対局運営の手を示した」と話した。
今、李世乭は貴重な1勝を手にし、国手に向けた夢をつなぐことができた。李世乭は07年と08年、国手トップを2連覇したことがある。挑戦4局と5局は、13日と15日に行われる。国手戦は、起亜(キア)自動車が後援する。優勝賞金は4500万ウォン。






