1980年代、韓国の主体思想派の創始者である金永煥(キム・ヨンファン)氏は、1990年代半ば、北朝鮮の大規模な餓死事態を目撃して転向し、現在、北朝鮮人権運動家として活動している。金氏が北朝鮮労働党の指令を受けて韓国内の地下組織の人民主革命党を作ったのが1992年3月16日だ。同年4月12日、北朝鮮は、仁川江華郡内可面外浦里(インチョン・カンファグン・ネガミョン・ウェポリ)の「ドボク(dvoke)」に工作金などを埋めておいたので取りに行けという指令を下す。金氏は、別の組織員に命じてドボクから工作金40万ドルと拳銃2丁、実弾、無線機2台、報告用乱数表を掘り出した。
ドボク(dvoke)は、韓国に派遣された北朝鮮工作員が定着スパイに渡す物を隠す秘密の埋設地だ。ロシア語でブナを意味する「ドゥブ(dub)」から変形した言葉で、第2次世界大戦当時、連絡手段がなかったシベリア地方で大きなブナに表式を残して物をやりとりしたことに由来する。民主革命党は現在、内乱陰謀疑惑で裁判を受けている統合進歩党(統進党)の李石基(イ・ソクキ)議員と彼が率いた地下革命組織(RO)のルーツだ。李氏は、民主革命党京畿(キョンギ)南部の委員長だった。
インターネット時代を迎えてドボクも進化している。最近、公安当局は、統進党の幹部チョン某氏が北朝鮮の対南工作組織の225局と225局傘下の反国家団体である在日本朝鮮人総連合(総連)に報告したと見られる電子メール数十件を発見した。チョン氏は、中国で活動中の225局工作員と接触して指令を受けた疑惑(国家保安法違反)で11月28日に逮捕された。
興味深い点は、チョン氏が送った電子メールの受信先もチョン氏だったということだ。電子メールのIDとパスワードを北朝鮮と共有し、1つの電子メールで北朝鮮側と交信したということだ。受信先のない「サイバードボク」だ。電子メールは海外のアカウントを使って公安当局が追跡できないようにした。統進党の活動が、北朝鮮と緊密に結びついていると疑念を抱かざるを得ない。
政府が請求した統進党解散審判と関連して、憲法裁判所の審理が近く始まる。北朝鮮が統進党を韓国制度圏浸透のドボクに活用しようとしたということが今回の事件を通じて明らかになった。憲法裁判所は、厳正で迅速な審理で統進党解散論議に決着をつけなければならない。






