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[オピニオン]「財閥断罪」の国民参加裁判

[オピニオン]「財閥断罪」の国民参加裁判

Posted November. 07, 2012 06:50,   

与党セヌリ党の国民幸福推進委員会(金鍾仁委員長)が、大手企業トップ一家などの主要経済犯罪について、国民参加裁判を義務付ける内容の経済民主化公約を推進している。国民参加裁判を通じて、陪審団による企業トップや経営者の横領背任などの経済犯罪審判を義務付けるという。容疑が確定すれば、刑を下げることができず、赦免権行使は厳しく制限するなど、二重三重の遮断幕を張って、不正企業家が法の網を潜り抜ける隙間を根本的に食い止めると意気込んでいる。

◆国民参加裁判は、司法不信を解消し、判決の民主的正当性を確保するため、08年に導入された。韓国法は刑事裁判で被告人が希望する場合、国民参加裁判を受ける申請主義を採用している。一般市民で構成された陪審団が、有罪無罪や量刑について意見を示せば、裁判部がこれを酌量して判決を下す。主に、強盗や殺人、性犯罪などの事件で、被告人が陪審団の感情に訴え、有利な判決を引き出そうという国民参加裁判の申請が多かった。最高裁判所は、陪審団の表決には、裁判官の判断を手助けする勧告的効力を上回るものがあるという趣旨の判決を下し、国民参加裁判陪審団の評決の法的羈束力がより一層強まっている傾向を見せている。

◆財閥犯罪でのみ国民参加裁判を義務付けるというセヌリ党の考え方について、公正な裁判を受ける権利を侵害しているという違憲論が持ち上がっている。財界は、「企業家を国民感情法で裁く人民裁判を行うのと同様だ」、「有錢有罪の魔女狩りだ」と反発している。複雑な企業会計がまつわる経済犯罪を、一般人で構成された陪審団が扱うには、専門性があまりにも落ちるという問題もある。三星(サムスン)とアップルとのデザイン特許訴訟でも、米陪審団が、愛国感情に偏り、三星に不利な判決を下したという「街中判決」という議論が起きた。

◆セヌリ党の朴槿惠(パク・グンヘ)大統領選挙候補は候補受諾演説で、「権力型不正に関わった人は、より厳しく処罰を受けさせる」と明らかにした。政経癒着や法経癒着、官経癒着の食物連鎖は断ち切らなければならない。財閥不正と同様に、政治家などの権力型不正も、裁く必要がある。不正政治家を国民参加裁判で裁くべきだということは口にせず、財閥に厳しいものさしを突きつけるのは、「自分だけはずした改革」と同様の意味に聞こえる。

パク・ヨン論説委員 parky@donga.com