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北朝鮮人口の8%が韓国へ、結核など感染拡大の恐れ 南北統一後の仮想シナリオ

北朝鮮人口の8%が韓国へ、結核など感染拡大の恐れ 南北統一後の仮想シナリオ

Posted October. 17, 2012 08:27,   

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20XX年、韓国と北朝鮮は統一に成功した。咸鏡北道(ハムギョンブクド)の農村に住むA氏は、仕事を求めて、韓国の大都市に移ってきた。北朝鮮全域の汽車駅やターミナルは、韓国に向かう人たちで大混雑振りだった。祭りのような雰囲気の中、韓国のほうに下ってきたA氏は、新しい仕事を夢見て、興奮を隠すことができなかった。韓国では、北朝鮮住民の受け入れに追われ、北朝鮮住民への健康診断は後回しにされた。A氏は、北朝鮮で結核を患っていたが、きちんと治療を受けることができなかった。時々薬を服用したため、耐性のできた結核菌が体に住み着いた。A氏の結核菌は空気に乗って韓国地域の人たちの間で早いテンポで広まった。

16日、東亜(トンア)日報が単独で入手した、国立保健研究院の「統一に備えた保健分野での対応案」と題した報告書を基に作った仮想シナリオだ。同報告書によると、統一後3年内に北朝鮮の人口約2400万人の8%にあたる200万人が、韓国に移住するものと見られる。長期的には、北朝鮮農業人口600万人が、韓国や北朝鮮の工業都市に移動する可能性が高い。同報告書は、「北朝鮮で大量に発生した結核やマラリア、寄生虫などの感染疾患が、人口の移動ルーツに沿って、韓国で早いテンポで広まる危険性が高い」とし、「『人間安保』の中心である健康を守ることができるよう、徹底に備えなければならない」と主張した。

●2年間で最高1000万人に結核の懸念

最も深刻な問題は、空気に混じって広まる呼吸器疾患の結核だ。現在、北朝鮮の結核患者数は人口の5%レベルであり、毎年、1万から2万人が結核で死亡するという。同報告書は、韓国に移住してくる200万人のうち、結核患者10万人が混じっていると想定すれば、韓国では少なくとも100万人から最大1000万人までが、新しい結核患者になりかねないと警告した。結核患者1人が、年間に少なくとも10人以上に結核を伝染させるからだ。

国立保健研究院の鉠明燦(チョ・ミョンチャン)院長は、「特に北朝鮮には、結核が完治しなかった状態で薬の服用を中止する人たちが多く、薬に耐性を持った結核である危険性もある」と明らかにした。特に、青少年に被害が集中する可能性が高い。1歳前に接種を受けた結核予防注射(BCG)の免疫効果は、19代後半にはなくなる上、生徒たちは運動不足や過度なダイエットによって免疫力が落ちているからだ。実際、最近は、高校や進学塾などで、10代後半が集団生活をしているところで、結核が発生している。現在、韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、結核有病率(人口比一定時点での発病者数)トップにつき、10年基準では10万人当たり97人に達している。

マラリアの拡散も懸念されている。韓国では1960年代から実施されてきたマラリア撲滅事業の成果を受けて、1984年以降、土着マラリアの発生報告がなかった。しかし、1993年、北朝鮮に近い京畿道坡州市(キョンギド・パジュシ)でマラリアが発生し、現在まで計2万8000人余りの累積患者が発生した。特に、北朝鮮と隣接している京畿北部や江原(カンウォン)北部、仁川(インチョン)などでの発病率が高い。潜伏期のマラリア患者が、人口密集地域へと移動すれば、蚊により早いテンポで広まりかねない。

●混乱や費用を減らすための管理が急務

北朝鮮は、寄生虫疾患問題も深刻だという。05年、咸鏡北道の一部の住民を対象に行った大便検査で、腸内寄生虫の回虫は43.2%、鞭虫は40.3%と、韓国の1970年代前半と同様のレベルであることが分かった。現在、韓国の腸内寄生虫感染比率は2%レベルだ。仁荷(インハ)大学医学部のキム・ドンス寄生虫学教室教授は、「韓国ではすでに姿を消した後進国型寄生虫が再び登場し、広まる可能性が高い」とし、「北朝鮮への正確な実態調査が急務だ」と明らかにした。

鉠院長は、「感染病による社会的混乱や治療コストを最小化するための管理システムを早期に構築するためには、北朝鮮への実態調査が必要だ」とし、「ドイツに比べ、南北間健康レベルのギャップのほうが一層深刻であり、統一後の混乱はさらに大きいだろう」と主張した。

同報告書の提出を受けた国家科学技術委員会は、「国家科学技術5ヵ年計画」と「科学技術の中長期的発展計画」に、このような実態を反映させ、統一に備え、科学技術政策をまとめる方針だ。



tigermask@donga.com