三星(サムスン)物産の新入社員体験プログラム、「グローバルマイダス」の成果を発表するために集まった49人の新入社員らは、計500万ウォンで1週間、ベトナムやカザフスタン、インドネシアなどの新興市場に挑戦したエピソードを、機転を利かせながら語った。下手な営業実力だったが、体当たりで頑張ってきた結果、これら8つのチームは、39%の平均利益を達成した。
●「いきなり、出張なんですって?」
ムン・ソンヒョンさん(28)などの新入社員、6人で構成された「チャーム(CHARAM)」チームは9月末、カザフスタン入りした。カザフスタンへの挑戦は、新入社員の中では初めてだった。バイヤーとの打ち合わせのスケジュールも完璧だった。交渉さえうまくいけばいいだろうと、踏んでいた。
現地入りして、バイヤーを訪れた。ところが、「出張のため、席を外しており、帰ってくれ」というとんでもない言葉が返ってきた。一言の了解も無く、約束を破るなんて。会社で学んだ「取引先の職員への応対礼儀」とは、全く違っていた。皆、「自分には関係ない」と、目もくれなかった。
知っているロシア語は、「スバシバ(ありがとうございます)」しかなく、身振り手振りをするしかなかった。「あなたが、新たな担当者になればいいじゃないか」というかわいらしい無理強いまで言いながら説得した。チャームチームは結局、色とりどりの「2NE1のレギンス」を売って、売上185万ウォン、営業利益95万ウォンを上げた。
新入社員らは、その勢いに乗って、韓国で人気のある「傷口絆創膏」も売った。しかし、晴天の霹靂だった。昨日までは無かった法律がいきなりでき、6ヵ月間の認証が必要だという。結局、打ち切らざるを得なかった。ムンさんは、「新興市場では予期せぬ出来事が絶えず起きた。新市場を開拓した先輩らを尊敬したい」と話した。
●「突然、引越したんですって?」
ヤン・シンヒョクさん(28)が率いる「ディルライト」チームは、ベトナムに向け発った。事業モデルは、中身をスチロールで詰めたソファである「ビーンバック」を輸入し、韓国で売り返すことだった。
ところが、予期せぬ出来事が起きた。契約成功を目前にした時、突然、メーカーのほうで、電話に出なかったのだ。商社マンの基本は、「飛び込み営業」だと思って、ホーチミン市内のメーカーに、なんの前触れもなく飛び込んだ。「ここまで来るなんて、感動した」と言いながら、メーカーの社長が契約書にサインする場面を想像した。しかし、これはこれは。「引っ越した」というメモだけぽつんと残っており、事務所には埃ばかり舞っていた。「いったいこれは…」。
いそいそと、他のメーカーを訪れた。臆面も無く盛んに交渉していたところ、ヤンさんの電話のベールがなった。「約束の時間がとうに過ぎているのに、なぜ来ないんですか?」。戸惑うばかりだった。
原因を辿ってみたところ、ディルライトチームは、タクシー運転手のミスで、違うところに下ろされたが、こともあろうに、あそこもビーンバックを販売するメーカーだったのだ。電話を無視し、新しい取引先を切り開くなら、成功する確率が高かった。しかし、商社マンには、金よりは約束の方が大事なもの。最初に約束したメーカーに戻り、結局有利な条件で、ビーンバックを空輸し、売上520万ウォン、営業利益198万ウォンを上げるのに成功した。ヤンさんは、「商社マンは素敵だと思っていたが、新興市場を直接開拓してみて、全ての過程は決して、簡単ではないことを、骨身に感じた」と話した。
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