銀行側の主張に対し、申相勳(シン・サンフン)社長は、「クク氏の妻の伯母が『シン氏』であることを理由に、新韓(シンハン)銀行が、自分の親戚や姻戚でもあるかのように追い詰めた」と主張し、「親戚や姻戚でないことは、戸籍謄本だけ見ても分かるはずだ」と反論した。
ホン氏も、「小さい時に、一緒に教会に通っただけで、親戚や姻戚ではない」と話した。これに対し、新韓銀行側は、「申社長は、戸籍謄本には従兄弟関係だけ出ており、従兄弟の関係は出ていないことを知って、謄本を見るべきだと主張している」と再度反論した。
金融界の一部では、親戚や姻戚であるかどうかも解明すべき焦点ではあるが、ことの本質は頭取が融資過程で不当な圧力を行使したかどうかであると指摘している。都市銀行の関係者は、「教会に通いながら、親しい関係になったことを理由に、『してはならない融資』を行ったことが事実なら、深刻な問題だ」と言い、「結局、検察の捜査を通じて、解明せざるを得ないだろう」と話した。
●「背任や横領」「理屈に合わない」
両者の相反する主張は、新韓銀行が申社長やクク氏、ホン氏などを背任容疑で告訴したことにもつながっている。新韓銀行は告訴状で、「金剛山(クムガンサン)ランドやその関係者のトゥモロー社は、貸出金の利息返済能力の無い信用不良企業だ」と主張し、「与信審査部が、(貸出が)不可能だという意見を、当時の頭取だった申社長にも直接報告したが、これを黙殺した」と明記した。
クク氏の主張は異なる。氏は、「06年、ウリィ銀行に主取引銀行を変えようとまでした」とし、「新韓銀行から、『どうか、居残ってほしい』といわれ、人情のために取引を続けてきたのだ」と主張した。さらに「円建てで融資を受けたため、利息負担が膨らんだ上、新型インフルエンザのため、ビジネスが厳しくなったのは事実だが、利息を延滞したことは無い」と付け加えた。
李熙健(イ・ヒゴン)新韓銀行名誉会長に渡されるはずの諮問料を申社長が横領したという容疑も、双方の主張が対立している。銀行側は、「申社長は、李名誉会長から許可を受けず、経営諮問契約を交わした後、諮問料名目で15億6000万ウォンあまりを新韓銀行から受け取り、個人的に使ってきた」と主張しているが、申社長は「経費性資金に手をつけたことはない」と反駁した。李名誉会長は、新韓銀行の創立者で、新韓金融の内部では「精神的支柱」だ。
●在日韓国人株主の動き
今のところ、1幕よりは2幕の結論が先に出るのは確実と見られる。新韓金融の取締役らのうち、影響力の大きい在日韓国人の社外取締役らが相次いで帰国し、取締役会が予想より早く開かれる可能性が高い。
誰が取締役会で勝者になるのか、予測は容易ではない。一部の在日韓国人の小口株主らが、申社長の解任案を巡り、手続き上の問題を提起して反対の声を出しているが、在日韓国人株主らの全体意見をまとめた声はまだ出ていない。
新韓持株の関係者は、「李伯淳(イ・ベクスン)新韓銀行頭取が大阪を訪問した時は、『申相勳への同情論』があったのも事実だが、東京訪問の時は、解任案に共感する意見も少なくなかった」と伝えた。
このような状況を考慮する際、新韓金融が取締役会を開いても、解任案を可決させる強硬策を固守せず、解任案の上程を見合わせたり、検察の捜査結果が出るまで、『職務停止』だけさせる、次善作を選ぶ可能性が高いという見方も出ている。
取締役会の結論がどう出ようと、新韓金融の支配構造は、激変に包まれるだろうという見方が支配的だ。都市銀行の幹部職員は、「新韓の第1人者(羅應燦会長)は、金融監督院による検査を、序列2位の人(申相勳社長)は、検察からの捜査を受ける未曾有の事態が起きており、さらに権力闘争まで重なっている」と言い、「2人が共に辞任する可能性もある」と見込んだ。
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