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自殺衝動に駆られる「危機に立たされた老人たち」

自殺衝動に駆られる「危機に立たされた老人たち」

Posted March. 05, 2010 09:56,   

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「目をつぶれば死にたくなる。高いところに上って飛び降りたくなることもある…」。

チャ・テヒョン(仮名=70)さんは、身長178センチに整った身なりをした老紳士だった。ソウルのある老人自殺予防センター(西大門)の相談室で会った彼は、昨年から自殺衝動に耐えることができず、週1回のペースで心理治療を受けている。

「13年前に事業に失敗した後、家内が家を飛び出した。私も挫折が大きかっただけに放蕩な生活をした。その後、子供らとも連絡が途絶えてしまった」。チャンさんの顔色が少し暗くなった。それ以来、街を転々とし、2年前からは地下の借家で一人暮らしをしている。

「自宅に一人で閉じこもっている時間が長引くにつれ、気が狂いそうだった。最初は無性に腹が立ち、寂しくはあったが耐えることができた。誰かが恋しくなったら、一日中ソウル駅や公園などを歩き回った。ところがある瞬間から死にたいという衝動が強くなった」。

金ヨンスン(仮名=72)さんも週に1度、センターを訪れ、カウンセリングを受けている。金さんは夫もおり、経済的にも豊かだったが、数度も自殺を図った。3年前は漢江(ハンガン)で飛び降り自殺を図ったが、体が浮かんで、水から這い上がってきた。その後も引き続き服毒自殺を図った。金さんが自殺を図るようになったのは、娘が外国で暮らし、息子と関係が疎遠になってからだった。

「最初はあまり気分がすっきりしない程度でした。しかし、次第に性格が内向的に変わってしまいました。ぼうっとしていれば涙が出たり、相談しながら泣きじゃくったこともある。自分に問題があることを、その時初めて気づきました」。

このように最近、地域内老人自殺予防センターを訪れる老人が増えている。ソウル西大門(ソデムン)や城北区(ソンブクク)、蘆原区(ノウォング)の老人自殺予防センターや、城南(ソンナム)、京畿(キョンギド)自殺予防センターなどには毎週、少なくは30人、多くは400人以上の老人たちが心理カウンセラーを訪れ、自殺衝動について悩み、治療を受けている。身の回りや生活にたいした問題がないのに、自殺衝動を覚える老人たちが少なくない。

朴ジェヒ(仮名=71)さんも、自分が年を取ったせいで無気力になったとばかり思っていた。経済的にも豊かだったし、夫や子供らとの関係もよかった。しかし、2年前からなんだか体が痛く、頻繁に眠りに襲われた。病院を訪れたが、症状は現れなかった。その後、自殺衝動が強くなった。「いつからか自分が子供らにとって負担になる存在だという気がし始めたようだった。その瞬間から死にたくなる衝動をよく覚えた」。

ソウル市精神保健センターの李ミョンス・センター長は、「お年寄りは若い人たちとは違って、長く生きるからといって、生活がよくなるという希望が持てず、自分が考えている現在の問題を、さらに誇張して感じるようになる」と指摘した。老人を対象にしたカウンセラーらは、「老人の自殺予防のためには、自殺衝動者を見つけ出すのが最も重要だ」という。老人が進んで相談機関を訪れるケースは非常に稀なためだ。記者が老人自殺予防センターで会ったほとんどの老人は、最初は、「私は精神病者でもないのになぜ(センターに)行かなければならないのだ」と怒ったと話している。

自治体が運営する各老人自殺予防センターでは、1年間上半期と下半期の2回、老人集合施設や教会などを訪れ、老人を対象にアンケートを行っている。彼らの自殺危険度を予め把握し、危険度の高い老人の場合は、管理に入るためだ。また、たびたび電話をかけて状態をチェックしたり、話し相手をしたり、訪問カウンセリングやセンター内での心理治療などを並行している。西大門老人自殺予防センターのカン・スンソン・チーム長は、「老人たちに、誰かが関心を持っていることを感じさせてこそ、自殺を予防することができる」と話した。



zozo@donga.com yena@donga.com