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五輪スピード 李承勲が1万mで奇跡の金メダル

五輪スピード 李承勲が1万mで奇跡の金メダル

Posted February. 25, 2010 09:15,   

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奇跡のような出来事が相次いで起きた。李承勲(イ・スンフン、22=韓国体育大)が24日、カナダ・リッチモンド五輪オーバルで行われたバンクーバー冬季五輪スピードスケート男子1万メートルで、12分58秒55の五輪記録で、韓国に5個目の金メダルをもたらした。長距離種目ではアジア勢初の優勝だ。ロシアのイワン・スコブレフ(13分02秒07)が2位、オランダのボブ・デヨング(13分06秒73)が3位に入った。

世界記録保持者のスベン・クラマー(オランダ)は、とんでもないミスで失格となった。韓国スピードスケート史を書き直した李承勲が、金メダルを取るまでのプロセスを再構成した。

●1周以上リードし、五輪新記録

滑走順が早いのが気になった。世界ランキング9位の李承勲は、5組のインコースでスタートした。李承勲よりランキングが上位の選手はみんな後ろの組に入っていた。全力で滑って結果を待つしかなかった。

1万メートルは3度目の出場。15日、5000メートルで銀メダルを取る前までも、この種目のメダル候補でもなかった。オランダのアルイェン・パン・ダール・キフトが彼と一緒のスタートラインに立った。

「同走選手が新鋭だったので、情報がありませんでした。ただ、自分のペースで走るだけでした」

1万メートルは、400メートルのトラックを25周も滑らなければならない「氷上のマラソン」だ。李承勲は、最初の周から区間1位に躍り出て、5200メートル地点では、当時1位の記録より10秒22もタイムを繰り上げた。

同日、五輪オーバルには、オレンジ色がみなぎっていた。スピードスケート王国オランダの観客が、自国選手が金メダルを取る場面を一目見ようと競技場を埋め尽くしていた。李承勲はキフトを1周以上リードし、ゴールラインを通過した。オランダの観客さえ、スタンディングオベーションで驚きを示した。

●瞬間の判断ミス…「李にプレッシャー感じた」

李承勲のレースを見ていなかったら良かった。世界選手権で12度も優勝し、今大会5000メートルでも、金メダルを獲得したクラマーだったが、彗星のように現れた李承勲は、目の上のこぶのように脅威的な存在だった。クラマーは5000メートルの競技を終え、「ラスト3周を回る間、歯を食いしばった。李承勲の終盤スパートが私を焦らせた」と話した。

しかし、同日、クラマーは最後に歯を食いしばる必要がなかった。16周(6400メートル)を回った際、彼は李承勲を2.9秒リードし、インコースへ入った。17周を回った時も、彼はインコースへ入った。勘違いしたコーチが間違えて指示し、インコースを相次いで回ったもの。クラマーはラスト1周を残し、李承勲より5.8秒進んだままゴールラインを通過したが、意味のない記録だった。

●2、3位が認めた世界最強

クラマーが失格を伝えられ、ゴーグルを投げつけた時、李承勲は太極旗を振りかざした。しばらく後に行われたフラワー・セレモニー。李承勲の隣にいた3位のボブ・デヨングとスコブレフが視線を送り、それぞれの両腕に李承勲の足を挟んだまま高く持ち上げた。李承勲はびっくりしたが、すぐ明るい笑顔を見せた。李承勲の金メダルに異見がないということを確認できる感動的なセレモニーだった。クラマーと最終組で、同走したスコブレフは、「レース途中、クラマーが(コースを勘違いして)いきなり私の前に現れた。クラマーは、ファンや彼のスポンサーからメダルを取らなければならないというプレッシャーを受け、それがミスにつながった」と話した。

李承勲は同日、自己ベスト記録を45日ぶりに21秒49も繰り上げた。彼は、「五輪記録も、クラマーの失格も奇跡のような出来事だ。漁夫の利で金メダルを取ったようなものだ」と話した。しかし、奇跡は準備した者に起きるものだ。



why@donga.com