韓国労働組合総連盟(韓国労総)は労組専従者の通常的「組合業務」を有給勤務時間と認めるべきだとして、与党ハンナラ党による労働組合法改正案の修正を要求している。ハンナラ党の改正案では、来年7月から労組専従者への無給制を導入するものの、団体交渉など、通常的「労組管理の業務」時間に限り、賃金を払うタイムオフ制(労働時間の免除制度)を設けている。韓国労総はこの範囲を、上級団体の活動や教育などへと拡大し、タイムオフ制を違反する場合の処罰条項をなくすよう主張し、事実上、無制限の有給労総活動の許容を要求している。
そうすれば、当初、政府と労使とが合意した「労組専従者への無給原則」は形骸化する程度ではなく、改悪になる。現行法では、「専従者は使用者からいかなる給与も受け取ってはならない」と規定し、ただ、09年12月までに適用を見合わせた。しかし、韓国労総の要求どおりなら、専従者がストを準備し、労働者に対して闘争教育を行う時間までも事業者は賃金を払うべきだと、法律で釘を刺すも同様だ。
韓国労総は2年6ヵ月間の複数労組の猶予期間に模索することにした窓口の一元化と関連し、産別労組を一元化の対象から除外するよう求めている。個別労組の争議権も保障するよう主張した。このような案が受け入れられれば、企業各社は重複交渉の上、頻繁な争議行為のため、大幅に萎縮されざるを得ない。
ハンナラ党は当初、政府と労使間の合意を破り、改正案には韓国労総の要求どおり、「通常的な労組管理業務」条項をタイムオフ制の対象に盛り込んだ。韓国労総は、敷居に足を踏み入れるや否や、茶の間まで手に入れようと企んでいる。ハンナラ党から見れば、政策連帯を行う韓国労総を無視するのは難しいだろうが、これは政治的利益のため、労使関係の先進化を放棄するのと同様だ。大半の先進国では労組専従者の賃金を含めた労組運営費全額を労組が負担するのが原則だ。米国は、労組が使用者から金銭を受け取れば、1万ドル以下の罰金が科せられる。フランスも従業員数によって、月10〜20時間に限り、有給と認めるだけである。
韓国経済研究院は最近、労組専従者の数が多いほど、スト発生率が高いという研究結果をまとめた。仕事をせず給与を受け取る「労働貴族」の地位を保つためにも、専従者らは闘争に重点をおく可能性が高いという分析だ。任太熙(イム・テヒ)労働部長官は先週、「労組専従者が政治闘争に使う時間は、労組活動の支援対象ではない」と強調した。わが国における労働運動の好戦性は、外国においても悪名が高く、国の信頼度を落としてきた。労組の正常化なくして、企業や経済の体質改善も、国の先進化も難しい。