1989年、ベルリンの壁の崩壊後、東ドイツ人の暮らしはどのように変わったのか。3家族の5人に、これまでの経験と感想を聞いた。
ベルリンの壁が崩壊する数ヵ月前、東ドイツから脱出した40代女性は、10年が経った今でも、東ドイツ秘密警察・シュタージの監視の後遺症に悩まされている。自由を奪われ、生きてきた東ドイツ人の心の壁まで崩壊するには、まだまだ時間がかかることが分かる。
一種の喪失感で、ベルリンの壁の崩壊を見守った60代の左派のマスコミ関係者とその娘は、統一後、西ドイツ人に比べ、差別を受ける東ドイツ人の境遇に敏感だった。
20年前、ライプツィヒで開かれた東ドイツ改革デモに参加した30代の事業家夫婦は、自分らが歴史の新しい幕を切り開いたという自信の中、東ドイツ発展のために何をしたら良いか、真剣に悩んでいた。