李明博(イ・ミョンバク)大統領の支持率が昨年8月以後初めて50%の前後を示している。G20首脳会議の来年のソウル開催を誘致する外交成果も成し遂げた。韓国は世界で一番速いスピードで経済危機を克服している。内閣と大統領の関係者らが興奮するのも無理はない。李大統領の言葉通り、大韓民国が本当に国運上昇の機会、世界の中心に立つ契機を迎えているのかも知れない。
しかし、視線を内部に向かわせると、公職者の汚職と不正・逸脱そして危機状況への対処と管理能力は情けない水準だ。このような公職社会を放っておいたまま、「さらに大きな大韓民国」と先進一流国家を叫んでも、それは空念仏に過ぎず、思いも寄らないところで後進国型の事故が起こる可能性が高い。
警察庁の国政監査資料によると、今年4月初め、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射した時、北朝鮮の海上挑発を監視するために設置された独島(トクト、日本名竹島)のレーダー2台と通信システムの航空機誘導網2台がいずれも故障していた。軍警が警戒体制に突入するなど騒ぎ立てたが、いざ東海岸には穴が開いていたわけだ。軍は、北朝鮮の無断放流により6人のわが国民が命を失った臨津江(イムジンガン)事態のときも、きちんと対処できなかった。北朝鮮の亡命住民11人が乗った小型船舶が公海から領海に入って、陸地から7キロまで接近するまで、識別することすらできなかった。なのに、金泰栄(キム・テヨン)国防長官は、「世界どの国の海軍も12海里(約22キロ)を越える距離で3トンもの船を捕捉することはできない」と言い、すべての責任をレーダーの機能のせいにした。このような軍と警察を信頼して、国民が安心して生業に従事できるはずがない。
検察の捜査と政府省庁の内部監察を見ていると、韓国の公職社会はほとんど「汚職デパート」に等しい。社会福祉予算などを数億、数十億ウォンずつを着服したり、住民を相手に超高利でお金を貸したり、似たもの同士でグルになって偽で超過勤務手当てを受け取ったり、軍将兵給食用のお米を横取りしては市場に売り込んだ公務員が数え切れない。最近は、ある大統領秘書官が大統領府の内部で業務処理をめぐる不満から声を荒げ、捨て台詞を言って批判を浴びた。自らを「実力者」だと思い込み、傍弱無人な振る舞いをしたのだ。大統領府行政官の性的接待事件の後、秘書室の綱紀を立て直したにも関わらず、実際はあまり改善していない模様だ。単純なハプニングではない。このような出来事が起こりうる雰囲気が問題だ。
政府は大統領の人気が高く、万事うまく行っている時こそ気を付けなければならない。公職社会の全般にわたり、厳しい信賞必罰を徹底させ、公職者らしくない人は「一罰百戒」で厳罰に処することによって綱紀を引き締めなければ、政権の成功は勿論のこと、国の先進化だって期待できるものではない。